著者
阪田 正大
出版者
広島大学
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.51-63, 2003-03-20

現在,不況に伴って第三セクター法人の倒産が増加している。特に,第三セクター法人のなかでも,フェニックスリゾート株式会社は2001年2月に2,762億円の負債をかかえ会社更生法による更生手続を申請し,第三セクター法人最大の倒産といわれた。本稿は,地方公共団体が経営参加する第三セクター法人に注目し,フェニックスリゾートの第1期から第12期(1988年12月から2000年3月)を例にとり,貸借対照表および損益計算書から第三セクター法人の会計分析および財務分析を行う。その結果,同社の事業計画が不適切であり,さらに住民への会計情報公開の遅れから,経営悪化が進展するとともに,地方公共団体が出資以外に補助金を役人することになったことがわかった。このことから,第三セクター法人は地域住民に会計置報を公開するべきことを論じ,地方公共団体が第三セクター法人を支援する際の経営分析について検討する。
著者
阪田 正大
出版者
広島大学マネジメント学会
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
no.2, 2002-03-20

近年, 自然人, すなわちいわゆる一般個人の自己破産申立件数が増加していおり, 大きな社会問題となっている。この自己破産件数の増加の理由には, 「多重債務」によって支払不能に陥った債務者の数が増加したことがあげられる。多重債務とは, 貸金業等からの金銭の借入れやクレジット利用により発生した債務が本人の返済能力を超え, そして債務の返済のためにさらに借金をして債務が重なることをいう。この多重債務の理由には, 遊興費のための借金, クレジットカードの利用による自己の返済能力を超えた商品の購入がある一方, 生活費のための借金や悪質商法により商品, サービスを契約させられたため等の様々なものがある。そして, 「消費者信用」は年々その市場規模を拡大させており, 多重債務者の増加の一因となっている。この消費者信用とは, 「消費者に供与された信用」のことであり, 大きく販売信用と消費者金融に分けることができる。またその一方で, 消費者信用は今や消費生活に不可欠なサービスになっているともいわれる。まず, 多重債務の原因となる消費者金融の高金利について検討する。わが国においては, 年29.2%以上の金利は利息制限法第1条により無効であり, さらに出資法第5条にも違反して処罰の対象となる。しかし, 出資法による罰則金利以下で利息制限法の上限金利を超過する利息について, 債務者は支払いの義務を負わないけれども債務者が任意に支払った場合には, 貸金業規制法第43条により有効な弁済とみなされ, 支払った利息の返還を求めることができない「グレーゾーン」といわれる曖昧な利息部分が存在している。次に, わが国の倒産法制において個人債務者が利用可能広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻平成13年度(2002年3月)修士論文要旨
著者
阪田 正大
出版者
広島大学
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.49-67, 2004-03-19

本稿は, 地方公共団体が経営参加する第三セクター法人に注目し, フェニックスリゾート株式会社の第1期から第12期(1988年12月から2000年3月)を例にとり, 貸借対照表および損益計算書からキャッシュ・フロー計算書を間接法により作成し, キャッシュ・フロー分析を行う。そして, 同社の有形固定資産とキャッシュ・フロー産出能力に注目しながら, 効率性および有効性について検討する。その結果, 同社の設備投資が過大であり, 営業活動においてはキャッシュ・フローを産出しない一方で, 借入金によって事業を存続させていたことから, 経営悪化が進展するとともに, 地方公共団体が出資以外にも補助金を投入することになったことがわかった。このことから, 地方公共団体が第三セクター法人を設立または支援する際には, 当該法人のキャッシュ・フロー分析を実施し, 適切な設備投資をするべきであり, 経営改善が見込めないことが判明した場合には, 補助金を交付すべきではなく, 早期に倒産処理を模索するべきであることを論じる。