著者
平岩 和美
出版者
広島大学マネジメント学会
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
no.15, pp.27-45, 2014-03

高齢者の健康維持を目的とする介護予防事業の計画及び実行の段階において,いかなる主体間連携が行われているかを把握するため,先行研究をもとに主体間連携の分析フレームを作成した。この分析フレームを用いて,広島県大崎上島町,庄原市,廿日市市の介護予防事業を実証的に分析した結果,人口規模と合併,委託先の確保の相違により事業運営は異なっていた。 実証分析の結果は次の通りである。まず,小規模の人口,合併の影響が少ない地域である大崎上島町は,ボトムアップの手法を用いている。その長所は計画初期から市民が参加すること,短所は計画策定に時間がかかることである。次に,人口規模が大きく合併の影響の大きい庄原市は,トップダウンの手法を用いている。その長所は計画策定から実行まで短時間であること,短所として市民の意見が生かされない危険性がある。この対策として,庄原市では31の自治振興区を利用し市民の声をくみ上げる仕組みを作っている。この二つの自治体ではプロセスの各段階において,多様な主体を活用しており中心となる主体の交替により,事業の硬直化,画一化を防いでいる。最後に,人口規模が大きく予算があり委託先が確保された廿日市市においては委託料方式を採用しており,事業を会社,老人クラブ,市民団体に委託していた。委託の課題として個人情報保護や事業の画一化がある。廿日市市では情報保護の契約を交わし,会社,老人クラブ,市民団体に委託することにより事業を活性化していた。
著者
江 向華
出版者
広島大学マネジメント学会
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-10, 2011-03

本稿は, 多角化戦略を中心とした成長戦略に関する先行研究の様々な議論をまとめて, 中国企業の多角化戦略に関する検討を行い, さらに重回帰分析で製品多角化戦略とパフォーマンスに関する実証研究を行った。その結果, 他の国とは異なり, 中国企業は他の戦略パターンよりも主力事業戦略のほうがより良い経済成果に結びつくことを明らかにした。この結果は既存の理論では説明できないため, 一考察として中国企業はある程度多角化しているが, 多角化するためのリソースがまだ蓄積されていないことが挙げられる。しかし, この結果は既存の多角化戦略を中心とした諸理論をそのまま中国企業に適用することが困難であるということも示唆する。したがって今後の課題として, ①先進経済と新興経済の相違②経済体制の相違という2つの視点から, 独自の多角化理論を検討する必要がある。これにより, 従来の理論をより精緻化させることが期待できる。
著者
小玉 一樹 戸梶 亜紀彦
出版者
広島大学マネジメント学会
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
no.10, pp.51-66, 2010-03

組織に対する労働者の帰属意識を説明する概念は, 組織論の観点から組織コミットメントが幅広く研究されてきた。本研究では, 社会心理学の観点から帰属意識を自己の側面からも検討した。本研究では, 社会的アイデンティティ理論および自己カテゴリー化理論を組織の文脈に援用した概念である組織同一視(Organizational Identification)に着目し, 先行研究のレビューを行った。その目的は, (1)組織同一視の再定義, (2)組織同一視および, その類似概念である組織コミットメントの構成概念の明確化, (3)組織同一視と組織コミットメントを弁別した上での理論モデルの検討であった。まず, 先行研究を検討し, 組織同一視を再定義した。つぎに, 組織同一視には認知的要素と情緒的要素があり, それらが相互に作用していることを指摘した。さらに, 組織同一視と組織コミットメントの構成概念の比較を行い, 双方を統合した理論モデルを提示した。以上の研究により個人の組織への帰属意識に関する研究に新たな視点を加えた。
著者
林 幸一
出版者
広島大学マネジメント学会
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
no.21, pp.10-11, 2020-03-26
著者
王 文娟
出版者
広島大学マネジメント学会
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-16, 2015-03

「ホスピタリティ」概念の受容と共に,「ホスピタリティ産業」の主張も見られ,既存の概念「接客業」を振り返ることが必要になった。本稿は文献調査をもとに,「接客業」という概念をめぐって,無償の「接客」行為が「接客業」まで発展してきた流れ,及び「接客業」という概念の外延と内包の変遷を考察してみた。元来礼儀作法・社交文化の一部とする「接客」が,経済発展や産業化の進行につれて,家庭内から社会へ広がってきたことを明らかにした。「接客業」は,一時的に,専門用語として取り上げられたが,戦後「サービス業」に置き換えられた。その理由は,言語外から考えれば,政治・経済などの社会状況及び産業構造の変化といった要因が挙げられ,言語内から考えれば,「接客業」に付加された「暗示的な意味」がその一因だと思われる。現在専門用語として扱われていないが,日常語としてまだ広く使われている。それは,「接客業」という概念が「接客」の定着と共に,すでに日本語に定着しており,また,「暗示的な意味」で敬遠されている時もあるが,逆に言うと,婉曲語のような便利さもあるからだと考えられる。
著者
阪田 正大
出版者
広島大学マネジメント学会
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
no.2, 2002-03-20

近年, 自然人, すなわちいわゆる一般個人の自己破産申立件数が増加していおり, 大きな社会問題となっている。この自己破産件数の増加の理由には, 「多重債務」によって支払不能に陥った債務者の数が増加したことがあげられる。多重債務とは, 貸金業等からの金銭の借入れやクレジット利用により発生した債務が本人の返済能力を超え, そして債務の返済のためにさらに借金をして債務が重なることをいう。この多重債務の理由には, 遊興費のための借金, クレジットカードの利用による自己の返済能力を超えた商品の購入がある一方, 生活費のための借金や悪質商法により商品, サービスを契約させられたため等の様々なものがある。そして, 「消費者信用」は年々その市場規模を拡大させており, 多重債務者の増加の一因となっている。この消費者信用とは, 「消費者に供与された信用」のことであり, 大きく販売信用と消費者金融に分けることができる。またその一方で, 消費者信用は今や消費生活に不可欠なサービスになっているともいわれる。まず, 多重債務の原因となる消費者金融の高金利について検討する。わが国においては, 年29.2%以上の金利は利息制限法第1条により無効であり, さらに出資法第5条にも違反して処罰の対象となる。しかし, 出資法による罰則金利以下で利息制限法の上限金利を超過する利息について, 債務者は支払いの義務を負わないけれども債務者が任意に支払った場合には, 貸金業規制法第43条により有効な弁済とみなされ, 支払った利息の返還を求めることができない「グレーゾーン」といわれる曖昧な利息部分が存在している。次に, わが国の倒産法制において個人債務者が利用可能広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻平成13年度(2002年3月)修士論文要旨
著者
虫明 千春
出版者
広島大学マネジメント学会
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
no.11, pp.111-118, 2011-03

近年において, 外国子会社合算税制(以下, 「タックス・ヘイブン対策税制」という。)が適用されたことにより, 納税者から課税当局に対し不服申し立てを行うケースが多く見受けられる。その争いの原因の一つには, 企業が中国特有の事業形態を採用したことにより, タックス・ヘイブン対策税制の適用除外基準の枠からはみ出したものと課税当局に判断され, 課税の対象となることが挙げられる。本稿では, タックス・ヘイブン対策税制の適用除外基準に該当しない場合において租税回避行為が確認されるのかを, 来料加工貿易の事案を基に論議する。
著者
王 屏 西本 志乃 盧 濤
出版者
広島大学マネジメント学会
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
no.4, pp.261-269, 2004-03

2000年間の中日関係の進展の中で, 日本人の"中国観"は3回の大きな変遷があった。そして今4回目の大きな変化の初期段階を迎えている。その変化は日本社会内部の構造の変動や刷新, 外的な国際社会秩序の調整や再構築がその前提とされ, "実力主義", "現実主義", "国家利益優先"の価値基準により方向づけられてきた。日本人の"中国観"の変遷を眺めると, その変化には次のような法則がある。それは, 中国の国勢が盛んなときは日本人の中国観は中国尊重の傾向にあり, 中国が衰退にあるときは日本人の中国観は中国蔑視の傾向にある。これは明らかに"実用主義"の特徴を示している。本稿の原文,"論日本人'中国観'的歴史変遷"は,『日本学刊』(中国社会科学院日本研究所 中華日本学会)2003年第2期に刊行されたものである。
著者
安藤 正人
出版者
広島大学マネジメント学会
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
no.11, pp.21-42, 2011-03
被引用文献数
1

ワーク・モチベーション研究の歴史は古いが, 多くは研究開発者など特定の職種のものであり, 正社員についての研究である。現在, 職場では正社員のほか契約社員, パートタイマー, 派遣社員など様々な雇用形態の労働者が共に働いているが, これまで多様な雇用形態の労働者のワーク・モチベーションに対する影響因を比較した研究はほとんど行われていない。本研究では, ワーク・モチベーションの構造を4つに分け, 正社員と非正社員のワーク・モチベーションに対する影響因として6つの満足要因を設定して影響関係を分析した。その結果, 職務満足がすべての雇用形態に影響を与えており, 雇用形態別で特徴的なものとしては, 正社員は対経営者・会社方針満足, 有期雇用フルタイム社員は対上司・リーダー満足, パートタイマーは処遇納得感や労働環境満足が有意な影響因であった。
著者
高木 潤
出版者
広島大学マネジメント学会
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
no.15, pp.85-85, 2014-03-27

広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻 平成25年度修士論文要旨〈学会員の論文要旨のみ掲載〉
著者
中尾 正俊
出版者
広島大学マネジメント学会
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
no.15, pp.82-82, 2014-03-27

広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻 平成25年度修士論文要旨〈学会員の論文要旨のみ掲載〉
著者
山口 隆久
出版者
広島大学マネジメント学会
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
no.14, pp.135-136, 2013-03-22

広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻 平成24年度博士論文要旨〈学会員の論文要旨のみ掲載〉