著者
本田 一陽 桜井 誠 千田 圭二 阿部 憲男 清水 博
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.200-204, 2002-04-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
20
被引用文献数
1

高齢者の肺炎を診療する場合, 濃厚な治療が行われたにも関わらず予後が必ずしも良くない症例に遭遇することがある. このような致死的細菌性肺炎について, 診療上どのような問題点があるか, 得られた文献を基に, 当院の症例についてそれぞれの問題点のスコア化を試み, 分析した. その結果, 致死的な細菌性肺炎においては, (1) 発症時起炎菌としてmethicillin resistant Staphylococcus aureusおよびPseudomonas aeruginosaが高率に検出されたこと, (2) 不顕性嚥下性肺炎の診断の遅れがあること, (3) 鬱血性心不全の合併率が高いごと, ならびに (4) 低栄養および高齢化による免疫不全が存在すること, などが臨床上の問題点としてあげられた. また, 他の致死的疾患と比較した場合, 高齢に加えて (1) 発熱, (2)膿性疲, (3) 白血球増多, (4) 画像所見改善の有無, (5) 臓器障害改善の有無および(6)酸素投与の中止の可否などが, 肺炎改善の臨床的指標としてあげられた.
著者
阿部 憲男 清水 博
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.98-101, 2006

国立療養所岩手病院は, 医師の名義を借りて診療報酬を不正受給したことにより平成12年6月1日に保険医療機関取消処分を受け, 3ヵ月後に再度保険医療機関として指定されたものの, 5年間にわたって, 標榜科と病床数の制限を受けた. 病院の存亡の危機に直面した時期に院長として務めたわれわれは, 職員の士気の昂揚を図り, 各人の意識改革を行うことに主眼をおいた. 岩手病院の存在の意義を明確にするために職員として何をなすべきかを明快で具体的な内容からなる「病院の目標と基本方針」を策定した. 一連の不祥事に学び, 「情報の共有」の重要性を認識し, 情報の共有の場として「診療支援委員会」を毎週1回開催した. また, 広大な敷地の環境美化を図り, その作業を通じて職員間の意思疎通を図ることを目的とした各職場の代表からなる環境整備の日を毎週1回1時間設けた. さらに, 従来の公務員像から脱却し職員の意識改革を行うために, 情報の共有, プラスα, 現場主義等のキーワードを盛り込んだ職員の行動指針として「十訓」を定めた. 以上の4つを, すべてに優先して病院運営の基本的な4本柱とした. その結果, 重症児(者)病棟では, 全国の国立療養所に先駆けて1週間の入浴回数を2回から3回に増やすことを実現し, 夕食の喫食時間の繰り下げ, 病棟配膳から中央配膳への変更, 在宅重症児(者)の短期入所の著明な増加, 食形態の見直し等へと繋がっていった. 病院全体としては, 独法移行後に労務系職員が本来業務を超えて職種横断的な機能的単位である「サービス班」を形成して, 班全体として院内清掃, 洗濯物の整理, 環境整備, 建物設備の補修等に当たる業務へのスムースな移行が可能になった. 看護業務を軽減するために, 看護課への各職場の協力体制が出てきた. 今後は, 国立病院機構の掲げる質の高い医療を遂行するためには, 病院を変えるリーダーとなりうる医師の確保こそが最大の課題である.

1 0 0 0 OA 病院の再構築

著者
阿部 憲男 清水 博
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.98-101, 2006-02-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
5

国立療養所岩手病院は, 医師の名義を借りて診療報酬を不正受給したことにより平成12年6月1日に保険医療機関取消処分を受け, 3ヵ月後に再度保険医療機関として指定されたものの, 5年間にわたって, 標榜科と病床数の制限を受けた. 病院の存亡の危機に直面した時期に院長として務めたわれわれは, 職員の士気の昂揚を図り, 各人の意識改革を行うことに主眼をおいた. 岩手病院の存在の意義を明確にするために職員として何をなすべきかを明快で具体的な内容からなる「病院の目標と基本方針」を策定した. 一連の不祥事に学び, 「情報の共有」の重要性を認識し, 情報の共有の場として「診療支援委員会」を毎週1回開催した. また, 広大な敷地の環境美化を図り, その作業を通じて職員間の意思疎通を図ることを目的とした各職場の代表からなる環境整備の日を毎週1回1時間設けた. さらに, 従来の公務員像から脱却し職員の意識改革を行うために, 情報の共有, プラスα, 現場主義等のキーワードを盛り込んだ職員の行動指針として「十訓」を定めた. 以上の4つを, すべてに優先して病院運営の基本的な4本柱とした. その結果, 重症児(者)病棟では, 全国の国立療養所に先駆けて1週間の入浴回数を2回から3回に増やすことを実現し, 夕食の喫食時間の繰り下げ, 病棟配膳から中央配膳への変更, 在宅重症児(者)の短期入所の著明な増加, 食形態の見直し等へと繋がっていった. 病院全体としては, 独法移行後に労務系職員が本来業務を超えて職種横断的な機能的単位である「サービス班」を形成して, 班全体として院内清掃, 洗濯物の整理, 環境整備, 建物設備の補修等に当たる業務へのスムースな移行が可能になった. 看護業務を軽減するために, 看護課への各職場の協力体制が出てきた. 今後は, 国立病院機構の掲げる質の高い医療を遂行するためには, 病院を変えるリーダーとなりうる医師の確保こそが最大の課題である.