著者
大隅 智之 清水 博之 小室 治孝 川田 智子 井上 明子 喜古 康博 岩瀬 滋 西川 正憲
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.125-131, 2022-07-20 (Released:2022-07-20)
参考文献数
22

病院職員の集団接種において,mRNAワクチンであるBNT162b2接種後の副反応とIgG抗体価の関連について調査した.副反応は自己申告形式の調査票を用いて2回目接種の副反応の程度を,抗体価は2回目接種の9週間後のスパイク蛋白に対するIgG抗体価の変動を用いて検討した.調査対象者は228名であり,発熱,倦怠感,頭痛の程度とIgG抗体価の上昇に関連が認められた.対象者の年齢を45歳未満と45歳以上に群別すると,45歳未満群では倦怠感,45歳以上群では発熱とIgG抗体価の上昇が関連していた.IgG抗体価と接種後の一部の副反応の程度には関連がある可能性が示唆された.
著者
松葉 修一 梶 亮太 梅本 貴之 清水 博之 横上 晴郁 黒木 慎 池ヶ谷 智仁 保田 浩 芦田 かなえ 幸谷 かおり
出版者
北海道農事試驗場北農會
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.159-163, 2017 (Released:2017-09-04)

北海道向け低アミロース米品種「ゆきむつみ」を育成した。「ゆきむつみ」は,「おぼろづき」や「ゆめぴりか」が持っている低アミロース遺伝子Wx1-1と「ゆきさやか」が持っている低アミロース遺伝子qAC9.3の両方を備えており,白米のアミロース含有率は約10%を示す。その炊飯米は,粘りが強く良食味であると同時に,玄米ご飯やいかめし,冷凍寿司などへの加工用途に適し,新たな米の消費拡大が期待される。
著者
重宗 明子 三浦 清之 上原 泰樹 小林 陽 古賀 義昭 内山田 博士 佐本 四郎 笹原 英樹 後藤 明俊 太田久稔#清水博之#藤田米一#石坂昇助#.中川原捷洋#奥野員敏#山田利昭#小牧有三#堀内久満#福井清美#大槻寛#丸山清明
出版者
農業技術研究機構中央農業総合研究センター
雑誌
中央農業総合研究センター研究報告 (ISSN:18816738)
巻号頁・発行日
no.16, pp.17-37, 2011-03

「華麗舞」は1979年に北陸農業試験場(現中央農業総合研究センター・北陸研究センター)において,超多収品種の育成を目的として,インド型多収品種「密陽23号」を母とし,日本型多収品種「アキヒカリ」を父とする人工交配を行って育成された品種である.1990年から「北陸149号」の系統名で関係各府県における奨励品種決定調査試験およびその他の試験に供試してきたものであり,2006年10月4日に新品種として「水稲農林415号」に命名登録された「華麗舞」の特性の概要は以下のとおりである.1. 出穂期は「コシヒカリ」より4~5日早く,成熟期は「コシヒカリ」より5~9日早く,育成地では"中生の早"である.2. 稈長は「コシヒカリj」より20cm程短く" 短",穂長は「コシヒカリ」より長く" やや長"穂数は「コシヒカリ」より少なく"少",草型は"穂重型" で,脱粒性は"難"である.粒形は"細長"である.千粒重は「コシヒカリ」よりやや軽い. 3.収量は,標肥では「コシヒカリ」より少ないが,多肥では「コシヒカリ」並である.4.炊飯米は, 「コシヒカリ」.「日本晴」よりも粘りが少なく,硬い.表面の粘りが少ないのでとろみのあるカレーソースとのなじみが良く,カレーライスへの嗜好性が高い.5. いもち病真性抵抗性遺伝子はPiaとPibを併せ持つと推定され,葉いもち圃場抵抗性は"中",穂いもち圃場抵抗性は不明である.穂発芽性は"やや易",障害型耐冷性は"極弱"である.
著者
清水 博之
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.49-58, 2010-06-25 (Released:2011-02-15)
参考文献数
50
被引用文献数
2 1

世界ポリオ根絶計画は,当初,2000年までの根絶達成を目標としていた.しかし,目標から10年が経過した2010年においても,近い将来のポリオ根絶の目途は立っていない.2010年現在,ポリオ常在国であるアフガニスタン,パキスタン,インド,ナイジェリア4カ国以外の国・地域では,地域固有の野生株ポリオウイルス伝播は認められていない.単価経口生ポリオワクチンの積極的使用にも関わらず,ポリオ常在国4カ国では,いまだ1型および3型野生株ポリオウイルス伝播が継続しており,ナイジェリアとインドに由来する野生株ポリオウイルスが,いったんポリオフリーを達成したアフリカ,アジア,ヨーロッパの国々へ,頻繁かつ広範な伝播を引き起こしている.さらに,ナイジェリアやインドのポリオ流行地では,2型ワクチン由来ポリオウイルス伝播が発生しており,一部地域における2型ポリオウイルスに対する集団免疫の低下が危惧されている.その一方,2009年には,北部ナイジェリアにおけるポリオ根絶活動指標の改善が報告されており,実際,2009-2010年にかけて,ナイジェリアの1型および3型野生株ポリオウイルス伝播は顕著に減少ししつつある.さらに,ハイリスク地域における追加接種活動の質を改善し,より簡便化するための効果的な手段として,Sabin 1 型と3型を含む二価経口生ポリオワクチンが2010年に導入された.2000-2009年の10年間,ポリオ症例数の上では顕著な減少は認められていないが,「世界ポリオ根絶の失われた10年」の間に得られた経験を十分に踏まえることが,世界ポリオ根絶計画を最終段階に進めるために必要とされる.
著者
清水 博幸 平栗 健史 木許 雅則 大田 健紘 進藤 卓也
出版者
日本工業大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本研究は,雷撃時の衝撃波によるシイタケ発生のメカニズムの解明と栽培促進技術の向上を目的とし,第1段階「先行研究の再現性確認」と第2段階「衝撃波による効果とメカニズム解明」に分けて検討を進めている.これまでの実験結果から,シイタケ原木へ直接の雷撃印加をせずとも,シイタケ子実体の発生の促進効果がみられることを示している.これを踏まえ,シイタケ子実体の発生促進には,電界や電流ではなく,「音圧」が鍵となるとの仮説を立て,2019年度に,雷撃時に発生する音をサンプリングし,この音を高出力アンプとスピーカで発生させる音波システムの構築を行っている.2020年度は,音圧印加によるシイタケ子実体の増産効果を調査するため,この音波システムを用いた.スピーカと榾木の設置位置を調整し,それぞれ,115dB,110dB,100dB,90dBとなるように配してスピーカから雷撃音を印加し,音圧を印加しないの榾木と音圧印加した榾木(115dB,110dB,100dB,90dB)において,シイタケ子実体の発生量の比較を行った.その結果,実験条件で最も大きな音圧である115dBでは,無印加とほとんど変わらないシイタケ子実体の発生量であったのに対し,90から110dBでは順に発生量が増加する傾向がみられた.このことは,シイタケ子実体の発生に効果を及ぼす音圧レベルには,閾値が存在することを示唆している.2020年度の研究の成果としては,査読付き論文:採択1件,解説記事1件の発表を行っている.
著者
小林 大輔 小山 侑 清水 博之 杉山 健太郎
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.19-25, 2016-12-25 (Released:2017-04-12)
参考文献数
22
被引用文献数
1

目的:三叉神経痛の治療法はカルバマゼピン(以下CBZ)の投与である程度確立されているが,副作用で服用の中断を余儀なくされる症例や,抵抗性を示す症例に遭遇することがある.そのような症例の臨床的特徴が明らかになれば治療の一助となると考え,三叉神経痛患者の臨床的検討を行った.方法:2010年4月から2015年3月に東京都立多摩総合医療センター歯科口腔外科を受診した三叉神経痛患者48例について年齢,性別,罹患部位,頭部MRI所見,治療法,副作用について調査を行った.結果:初診時年齢は29~96歳で平均年齢は67.9歳であった.性別は男性が11例(22.9%),女性が37例(77.1%)であった.罹患部位は第Ⅱ枝が25例(52.1%)と半数以上を占めた.頭部MRI撮影を行った44例において18例(40.9%)で原因血管の同定が可能であり,うち上小脳動脈が9例(50.0%)と最も多かった.3例(6.8%)に脳腫瘍を認め,3例の内訳は聴神経腫瘍および髄膜腫,類上皮腫であった.CBZを投与した45例のうち,34例(75.6%)で症状が寛解したが,11例(24.4%)についてはCBZの内服のみでは症状は寛解せず,追加の治療を必要とした.CBZの奏効量は200mgが19例(55.9%)と最も多かった.副作用は14例(31.1%)に認め,最も多い副作用はふらつきで6例であった.結語:今回われわれは三叉神経痛患者48例について臨床的検討を行った.しかしCBZに副作用,抵抗性を示す症例に明らかな臨床的特徴は見出すことができなかった.
著者
清水 博之
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.57-66, 2012-06-25 (Released:2013-05-09)
参考文献数
42
被引用文献数
5 8

ポリオワクチン関連麻痺(VAPP)およびワクチン由来ポリオウイルス伝播によるポリオ流行のリスクを避けるため,ポリオ流行のリスクが低い多くの国々では,不活化ポリオウイルスワクチン(IPV)が定期予防接種に導入されている.我が国では,現在,単独IPVと二種類の百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ (セービン株由来IPV; sIPV) 混合ワクチンの製造承認申請が提出されており,2012年秋の導入が予定されている.一方,VAPPリスクへの強い懸念や近い将来のIPV導入により,経口生ポリオウイルスワクチン(OPV)接種率低下が顕在化している.OPVからIPVへの移行期における,集団免疫レベルの低下について注意深く監視するとともに,ポリオ疑い例のサーベイランス強化とポリオウイルス実験室診断の徹底が求められている.sIPVの開発は,より価格の安いIPVを途上国に導入するための,もっとも現実的なオプションのひとつである.そのため,sIPV導入後は,世界で初めて認可されたsIPV製剤として,有効性,安全性,および,互換性に関する臨床研究が必要とされる.
著者
黒須 亮成 清水 博貴 橋本 智己
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.501-506, 2017-02-15 (Released:2017-02-22)
参考文献数
16
被引用文献数
2

本稿では,人間とロボットの間で自然なコミュニケーションの実現を目指し,コミュニケーションエージェントの感情モデルを提案する.提案モデルは,「怒り」,「嫌悪」,「恐れ」,「悲しみ」,「幸福」,「驚き」の6感情を持ち,ファジィ認知マップで構成されている.6感情を相互に結合することで,幸福だが悲しい,悲しくて恐ろしい,恐ろしくて嫌悪するといった複数の感情を同時に表現することができる.提案モデルは,時間的に変化する重みと時間遅れの要素を組み込んでいて,情動と気分,サーカディアンリズムを表現する.感覚遮断を模して1週間放置した実験では,周期的に過去の感情が励起する反応が観察された.
著者
本田 一陽 桜井 誠 千田 圭二 阿部 憲男 清水 博
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.200-204, 2002-04-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
20
被引用文献数
1

高齢者の肺炎を診療する場合, 濃厚な治療が行われたにも関わらず予後が必ずしも良くない症例に遭遇することがある. このような致死的細菌性肺炎について, 診療上どのような問題点があるか, 得られた文献を基に, 当院の症例についてそれぞれの問題点のスコア化を試み, 分析した. その結果, 致死的な細菌性肺炎においては, (1) 発症時起炎菌としてmethicillin resistant Staphylococcus aureusおよびPseudomonas aeruginosaが高率に検出されたこと, (2) 不顕性嚥下性肺炎の診断の遅れがあること, (3) 鬱血性心不全の合併率が高いごと, ならびに (4) 低栄養および高齢化による免疫不全が存在すること, などが臨床上の問題点としてあげられた. また, 他の致死的疾患と比較した場合, 高齢に加えて (1) 発熱, (2)膿性疲, (3) 白血球増多, (4) 画像所見改善の有無, (5) 臓器障害改善の有無および(6)酸素投与の中止の可否などが, 肺炎改善の臨床的指標としてあげられた.
著者
長岡 一朗 三浦 清之 上原 泰樹 笹原 英樹 清水 博之 太田 久稔 後藤 明俊 重宗 明子 小牧 有三 大槻 寛
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.6-9, 2015-05-30 (Released:2017-03-27)
参考文献数
1

水稲新品種「夢の舞」は,北陸では早生に属する粳種で,同熟期の「ひとめぼれ」に対して多肥条件で1割程多収であり,いもち病圃場抵抗性は葉いもち,穂いもちともに「やや強」,障害型耐冷性が「極強」である.
著者
多賀 厳太郎 山口 陽子 清水 博
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.p125-153, 1992-11

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。特別寄稿
著者
小林 大輔 清水 博之 杉崎 正志 重松 司朗
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.232-239, 2016-12-20 (Released:2017-02-13)
参考文献数
23

顎関節症発症に関与する因子は多因子性であり睡眠障害もその一因とされているが,その因果関係についての研究は少なく十分に解明されていない点も多い。顎関節症患者,特に咀嚼筋痛障害を有する患者に対し睡眠障害との関連性について質問票を用いて検討を行った。対象は,2015年4月1日より2016年3月31日までに当科を受診した,咀嚼筋痛障害を有する顎関節症女性患者40名とし,顎関節症症状のない女性30名を対照群とした。睡眠障害に関してはピッツバーグ睡眠質問票日本語版(以下PSQI-J)を用いて評価した。患者群に対する調査項目は咬筋部圧痛,開口時咬筋部痛,無痛自力最大開口量,日常生活支障度とした。2群を比較した結果,PSQI-Jスコアは有意に患者群のほうが高かった。またPSQI-Jの各項目と各症状との関連を調べた結果では,<睡眠の質>では咬筋部圧痛(p=0.036),<入眠時間>では咬筋部圧痛(p=0.009),<睡眠時間>では日常生活支障度(p=0.021),<眠剤の使用>では開口時咬筋部痛(p=0.026),および咬筋部圧痛(p=0.024)が有意な関連を認めた。また患者群におけるPSQI-J合計スコアと咬筋部圧痛に有意な関連を認めた(p=0.003)。睡眠障害が顎関節症,特に咀嚼筋痛障害の発症に関連をもつことが改めて示唆された。
著者
清水 博之 吉田 弘 宮村 達男
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.161-178, 2005 (Released:2005-11-22)
参考文献数
39

本稿は,WHO global action plan for laboratory containment of wild polioviruses (Second edition) の全訳である.天然痘やSARSコロナウイルスの例を挙げるまでもなく,実験室に由来する感染症流行の社会的リスクは,きわめて現実的な問題である.野生株ポリオウイルス根絶が間近となり,ポリオワクチン接種停止について議論されている現在,野生株ポリオウイルスの実験室封じ込めについても具体的な行動が求められている.日本語訳作成の主たる目的のひとつは,必ずしも周知されていないポリオウイルス野生株の定義や実験室封じ込めの基準に関する現時点におけるWHO指針を明確にすることにある.同時にまた,感染症以外の広範な施設がポリオウイルスを保有する可能性について,担当者に理解していただくための基本的資料を提供することを目的としている.