- 著者
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阿部 翔太朗
金井 秀明
- 出版者
- 情報処理学会
- 雑誌
- 情報処理学会研究報告 (ISSN:09196072)
- 巻号頁・発行日
- vol.2014-GN-91, no.38, pp.1-8, 2014-03-06
本研究では,活動量を向上させる手段として阻止の行動随伴性を利用した身体活動促進システムを考案する.評価実験により,(1) 提案したシステムを用いた手段で実験参加者の活動量を向上可能か,(2) 嫌子の出現阻止のための行動の強化が発生するか,(3) システムを適用した結果,実験参加者の身体活動に対する動機づけがどのように変化するかの 3 点について評価を行った.その結果,被験者によって,システムによる活動向上効果が異なった.そこで,被験者の身体活動に対する意識や性格に基づいて,被験者を個別に考察した.その結果,以下の知見が得られた.(a) 活動量のノルマの設定により,ほとんどの者に対して活動量を向上することが可能である.(b) 何を嫌子とするかは慎重に設定する必要があるが,その者にとって効果的な嫌子であれば行動の強化は行われる.(c) 予め身体活動に対して積極的な者に対しては動機づけを低下させることはほとんどない.(d) 身体活動に対して消極的な者に対しては,システムを長期間使用することでより自立性の高い動機づけに変化する可能性を見いだせた.