著者
尾崎 慎治 福間 英祐 戸崎 光宏 阿部 聡子 小川 朋子 比嘉 国基 坂本 尚美 坂本 正明 河野 奈央子 山城 典恵 鈴木 貴子 角田 ゆう子
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.3038-3047, 2008 (Released:2009-06-11)
参考文献数
20
被引用文献数
2 3

目的:微小乳癌に凍結療法を施行し,画像所見および病理組織学的所見から非切除凍結療法の可能性を検討した.方法:1cm以下の限局性乳癌7症例を対象とした.凍結機器はVisica Cryoablation System (Sanarus Medical, Pleasanton, USA)を用い,局所麻酔下で超音波ガイド下凍結療法を施行した.結果:凍結範囲はUS,MRIで特徴的な所見を示した.目的病変は全例で凍結範囲内に位置しており,残存病変は認めなかった.病理組織学的に凍結療法の抗腫瘍効果の検討を行った1症例では,凍結範囲の中心部(腫瘍存在部位)から採取した組織において,ヘモジンデリン沈着を伴う瘢痕様線維性組織を認め,腫瘍細胞は完全に消失していた.7症例の凍結療法後の平均観察期間は9.7カ月(3カ月~21カ月)であり,現在まで再発所見を認めていない.結論:限局性の微小乳癌病変に対して超音波ガイド下凍結療法は乳癌の局所療法の一つになりえる可能性がある.