著者
星野 和義 村上 雅一 塩田 摂成 万木 英一 阿部 重郎 岸本 宏之
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.1754-1759, 1998-07-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

過去5年間の計46例のマムシ咬傷に対し検討を行った.年間の症例数は,平均9.2人,月別では, 4月から11月までに見られ, 7月, 8月に症例が多かった.年齢は4歳から86歳までにわたり,平均60歳で,特に51歳以上で全体の83%を占めていた.受傷部位は,手指,足背,足趾の順に多かった.症状は,咬傷部位の腫脹が多く,その他に皮下出血,内出血,眼症状等が見られた.最大腫脹日は,腫脹が軽度のものでは1日目,高度のものでは2, 3日目が多かった.腫脹が高度のものに全身症状が多く見られた.腫脹が高度のもの,全身症状出現例に入院期間の延長が見られた.局所の切開,洗浄,マムシ抗毒素血清(血清),セファランチン投与の治療にて全例治癒しえた.血清の使用率は80%であり,有用な治療法と考えられた.血清の皮内反応陽性率は41%と高かったが,血清病の発症は8%と低かった.
著者
牧野 正人 万木 英一 阿部 重郎
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.1923-1928, 1988
被引用文献数
8 6

マムシ咬傷の治療にセファランチンが有効とされてから,抗血清は必要ないとする報告が多いため,今回,抗血清の使用の効果について検討した.<br>昭和53~62年の10年間に114例のマムシ咬傷症例を経験したが,その約80%は7~9月の期間に発生し,年次別では斬減の傾向であった.死亡例は2例であった.<br>抗血清使用例では腫脹の範囲も狭くかつ霧視などの全身症状合併率も非使用例の65%にくらべ有意に低く13.8%であった.さらに,治療日数をみても使用例で有意に短かった.また, LDH, GOTの異常値は腫脹範囲と相関して認められたが,抗血清使用例の方が異常値を示す割合いも少なくかつ軽度であった.<br>また, 3時間以内にマムシ抗毒素血清による治療がなされれば,全身症状合併率は低く,腫脹範囲も軽度のものが多かった.<br>以上より,マムシ咬傷の治療は抗血清の投与が望ましいと考えられた.