著者
三好 彰 中山 明峰 程 雷 殷 敏 時 海波 陳 智斌 鮑 永生 魯 春林 白川 太郎
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4Supplement2, pp.S147-S152, 2003-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
22

近年の日本におけるスギ花粉症などのアレルギー疾患増加が、回虫など寄生虫の減少に起因しているとの仮説に対して、実際の疫学調査の結果と文献による考察を行った。疫学調査の結果からは、寄生虫感染例でもスクラッチテストに陽性反応を示す症例の存在することが分かり、むしろ感染例の方が非感染例よりも陽性率の高いことすらあることが示唆された。文献的にも、この仮説を裏付け得るだけの論文は見当たらず、仮説は根拠に乏しいものと判断された。アレルギー疾患の増加が、寄生虫感染の減少に起因しているとはいえない。