著者
陳 足英
出版者
パーソナルファイナンス学会
雑誌
パーソナルファイナンス学会年報 (ISSN:18843328)
巻号頁・発行日
no.9, pp.51-59, 2008

中国の庶民金融は「合会」といい、台湾では合会や互助会を会仔(wheai)ともいう。「合会」は、庶民の相互扶助的な金融組織という点では日本の頼母子や無尽、沖縄の模合と性質を同じくする組織である。1990年以前の台湾の金融機関は、ほとんど日本植民地時代からの金融機関および国民党の台湾移動とともに中国本土から移転してきた金融機関から形成されていた。当時の台湾の銀行は保守的で、担保物件の少ない中小企業と零細企業に対しては冷淡で、銀行から融資を受けることが難しかった。そのため台湾では、民間の庶民金融の「合会」が普及していった。ある調査によると、台湾人が「合会」に参加する率は85%に達していた。1999年7月のアジア金融危機から台湾の金融構造が変化し、国内企業の資金調達は多元的になり、銀行の融資額が減少し業績は下降傾向となりその業務は消費者金融に移ってきた。近年、台湾ではプラスチック貨幣(信用カード【クレジットカード】)が急速に普及している。台湾の消費者信用産業の市場規模は2004年6月の6,631億(台湾元)から2005年7月の8,056億(台湾元)と急激に拡大した。そのうち無担保で小口現金(現金カード)を貸し付ける消費者金融市場は1,934億(台湾元)から3,067億(台湾元)となった。「現在台湾のクレジットカードの負債は400億台湾元、50万人がクレジットカードの負債でどん底に落ちている(永無翻身)」。
著者
陳 足英 張 務華
出版者
パーソナルファイナンス学会
雑誌
パーソナルファイナンス学会年報
巻号頁・発行日
no.13, pp.61-68, 2013

現在台湾では、郵便貯金・労働者退職基金・労働者保険基金及び公務員退職・援助基金の四つの政府系ファンドがある。中華郵政(Chunghwa Post Company Ltd.)は預金残高ベースで、台湾で最大手の預金金融機関である.中華郵政が提供している金融商品には通帳預金・定期預金・郵便振替があり、預金残高は3商品合わせて4.63兆台湾元である(2010年末)。2009年の預金機関全体の預入預金は21.3兆台湾元であるので、中華郵政で預入されていた残高は、その21.7%に相当する.または、中華郵政の2010年の年次報告書によると、中華郵政で預入されている預金商品の預入残高は、定期預金の残高が3,021,916百万台湾元で、通帳預金の残高が1,526,690百万台湾元で、郵便振替が76,482百万台湾元である。全球華文行銷知識庫の2007年8月30日によると、台湾の政府基金では、それぞれ持っている資金は、郵便貯金が4兆台湾元で、労働者退職基金が6052億台湾元で、労働者保険基金が4276億台湾元で、公務員退職が4324億台湾元である。台湾の中央銀行の公開市場操作は、以上の資料によると、台湾の中華郵政の貯金が、台湾の中央銀行の最大資本金と思うであろう。退職基金と保険基金の成立の目的は、国民たちの老後の生活保障や、社会および経済を発展させることである。