著者
米山 州二 齊藤 かおり 小笠原 悠 陸 拾七 間 陽子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.e114-e121, 2022 (Released:2022-06-15)
参考文献数
17

牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)の高度感染酪農場で清浄化を達成した.まず,感染牛の血中プロウイルス量(PVL)及びBoLA-DRB3アリルから各感染個体のBLVの伝播源としてのリスクを推定し,感染高リスク牛を優先的に淘汰した.また,子宮内感染を避けるため,原則,後継牛は非感染牛に雌の性選別精液を人工授精して得た.続いて農場内放牧を中止し,牛舎内の感染牛の飼養区域を完全分離し,境界に抵抗性アリルを有する感染牛を配置した.感染母牛から生まれた子牛11頭中,5頭が感染牛で,高PVLの母牛でより高頻度だった.搾乳牛の82.8%が感染していた2015年10月から対策を開始し,2020年5月に清浄化を確認した.高度感染農場でも子宮内感染に注意し,高PVL牛の優先的淘汰と感染牛の分離飼育をあわせることで清浄化は可能である.