著者
大西 惠美 吉田 直裕 青柳 武史 爲廣 一仁 緒方 俊郎 谷口 雅彦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.1041-1048, 2020 (Released:2020-12-28)
参考文献数
22
被引用文献数
1

孤立性上腸間膜動脈解離は比較的まれな疾患であるが,近年CTの普及に伴い本疾患の報告は増加している.多くは保存的加療で良好な予後が得られるが,観血的治療を要する症例もあり時に致命的になることもある.しかし,本疾患の原因,分類,治療法について一定の見解は得られていない.2008年2月から2019年2月までに孤立性上腸間膜動脈解離と診断した20例の患者背景,症状,血液検査,治療法,転帰について後方的にまとめ,Sakamoto分類・Zerbib分類・Yun分類・Luan分類・Li分類により分類し,どの分類が治療方針の決定に有用か検討した.全例男性で平均年齢は56歳.18例は保存的加療,1例は血栓溶解,1例は血栓溶解をするも腸管虚血を認め腸管切除を行った.全例が再発なく生存.(観察期間中央値756日,四分位範囲:109-3,845)当院で経験した20例ではYun分類Type I~II bでは保存的加療が可能であり,Type IIIで観血的な治療が必要で,Yun分類が治療方針の決定に最も有用であった.
著者
岩永 彩子 爲廣 一仁 松浦 泰雄 木村 芳三 檜垣 浩一 猿渡 彰洋 廣方 玄太郎 青柳 武史 谷口 雅彦 緒方 俊郎
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.345-357, 2019-07-01 (Released:2019-07-31)
参考文献数
102
被引用文献数
3

目的:Segmental arterial mediolysis(以下,SAMと略記)の治療選択肢は多様化してきており,治療法の変遷と選択について検討した.方法:当院12例;2008年から2015年までにSAMと診断された症例について集計を行った.本邦症例報告100例;2004年から2016年までに医学中央雑誌に掲載された症例の検討を行った.結果:当院12例;年齢は中央値69(47~92)歳,男女比は6:6であった.主病変血管は肝動脈,胃大網動脈が3例ずつであった.単発10例,多発2例であった.治療法はTAE 8例,手術2例,治療不能1例,経過観察1例であった.在院日数は中央値23(10~165)日であった.在院死は2例で,退院後他病死が2例であった.8例は健在で1例に8か月後に他部位に再発を認めた.本邦症例報告100例;年齢中央値57(32~88)歳,男女比7:3であった.病変血管は,中結腸動脈が最も多かった.治療方法の内訳は手術52例,TAE 38例,経過観察10例であった.治療方法の時代変遷は2011年以降TAEと手術はほぼ同等になっていた.これらの比較検討では,non-responder,動脈瘤径が大きなものが有意に手術を,膵十二指腸動脈の病変は有意にTAEが選択されていた.再発,在院日数に有意差はなかった.結語:SAMの治療は,患者の全身状態と病変部位,病態を把握し,個々の症例に応じた適切な治療法を選択,施行することが重要であると考えられた.