著者
皆川 潤 大槻 憲四郎 青野 正夫 大友 淳一 中村 教博
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.154-166, 1995-06-10
被引用文献数
5 2

兵庫県南部地震(M7.2)<1)>は、1995年1月17日午前5時46分に、淡路島北方の明石海峡の地下深部14.3km付近を震源<1)>として発生し、淡路島北部から対岸の神戸市〜西宮市にかけて大きな被害を与えた。その被害域は直線的に延びた帯状の範囲に集中し、直下型の活断層の影響を強く受け、淡路島北部では地震断層が出現した。この地震断層は、活断層とされている野島断層(水野他<2)>、活断層研究会<3)>)にほぼ一致して出現したもので、生々しい断層の実体像を我々の眼前に現してくれた(この地震断層を以後野島地震断層と呼ぶことにする)。地震断層を含む活断層は第四紀に入ってからの新しい断層運動によって生じ、その地質的な現象が地形に反映されることが多いことから、調査に当っては地質的・地形的な両面から断層を調べていくことが必要である。今回現れた地震断層は、地質・地形の両面で現れた断層であり、この断層から"自然の厳しさ"とともに活断層の実体像の多くを学びとる必要がある。ここでは、地震発生後に実施した地震断層の性状と被害に関する現地調査結果を報告する。今後の活断層調査の一助となれば幸いである。