著者
須丸 公雄
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.161-165, 2023-03-01 (Released:2023-03-01)
参考文献数
22

さまざまな細胞治療が普及し,ヒト培養細胞を用いた医薬品アッセイが盛んに検討されている.来たるべき培養細胞の利活用時代に備え,細胞の分別や純化,回収などの操作を自動化すべく,筆者らは光に応答して細胞に作用する変化を遂げる光応答ポリマーを培養基材に用いるスキームを検討した.まず,光に応答して速やかに水溶化するポリマー材料を新規に開発,これを塗布した培養基材上に接着した細胞を,光照射によって生きたまま選択的に剝離回収できることを示した.また,光に応答して酸や熱を発生するポリマーを用いて,細胞を選択除去して純化し細胞単層を切断する「力ずく操作」の実現を実証した.これらの技術を,ヒトiPS細胞の維持培養などに適用した例についても議論する.