著者
永田 和宏 須佐 匡裕 福山 博之
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

以上の結果、たたら製鉄の特徴は低温度操業(約1350℃)、高酸素ポテンシャル(約1x10^<-12>atm)、急速加熱・急速反応(砂鉄投入から20〜30分で鋼あるいは銑鉄になる)であり、炭素濃度が1.5〜3.5%でシリコン濃度はほとんどトレース程度であり、リンと硫黄濃度も溶鉱炉法より低い値であることが分かった。このシリコン結果は熱力学的平衡から予想される値より非常に低く、現代製鉄法の製鉄原理とは異なっている。(6)たたら製鉄法の原理を現代製鉄法に応用するため、炭材内装ペレットを用いて銑鉄製造機構の解明を行った。その結果、不活性ガス中で急速加熱することにより約1350℃、約8分で銑鉄が生成することが分かり、新製鉄法の指針を得た。
著者
永田 和宏 後藤 和弘 須佐 匡裕 丸山 俊夫 永田 和宏
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1988

高温材料の耐酸化性の向上はAl_2O_3、SiO_2またはCr_2O_3などの酸化物皮膜を表面に形成することにより達成される。まず、高温材料表面に生成するSio_2膜の形成に関してそのモデルとしてSiの高温酸化を行い、酸化速度と生成するSiO_2の性質について研究した。また、薄い膜の熱伝導率を測定する新しい手法を開発した。(1)Siの熱酸化機構に関する研究:Siの熱酸化速度からSiO_2中の酸素の拡散係数を求めた。さらに、酸化速度の酸素分圧依存性はSiO_2中の酸素の溶解度の変化によることを明らかにした。また、臭素ガスの酸化速度に及ぼす効果を明らかにした。(2)薄膜材料の熱伝導率測定法の開発:昭和63年度で開発したスポット加熱法を改良したパルススポット加熱法を完成した。この方法はレ-ザ-ビ-ムを試料表面にパルス状に照射し、表面の温度変化を測定する方法である。これにより、25μm以上の膜厚のSiO_2の熱伝導率を測定できることを明らかにした。次に、金属材料の超高温使用を目的として高融点金属のモリブデン(Mo)の表面にパックセメンテ-ション法によりAlを拡散処理して、その耐酸化性の向上に関する研究を行った。(3)パックセメンテ-ション法によるMo表面のAlコ-ティング:Moに塩化アンモニウムを活性剤としてAlをパックセメンテ-ション法によりコ-ティングした。コ-ティング層は冷却時に導入された多数の亀裂を有するMo_3Al_8から成っている。Mo_3Al_8自身は高い耐酸化性を有しているが、高温酸化時にコ-ティング層中の亀裂が進展してMo基板にまで達する事により、耐酸化性が失われることを明らかにした。これは、小量のSiを予めコ-ティングした後、Alコ-ティングすることで解決できることを見いだした。さらに、コ-ティング層の生成過程を、新たに作成したMoーAlーSi系の状態図を用いて、解明した。さらに、薄膜中の陽イオン拡散のモデルとしてWO_3中のLiの拡散について調べた。また、超高温材料として有望な炭素材料のAlによる耐酸化性コ-ティングに関する基礎研究にも着手した。