著者
須藤 正巳 御幡 寿 宮口 右二
出版者
茨城県畜産センター
雑誌
茨城県畜産センター研究報告 (ISSN:13466488)
巻号頁・発行日
no.31, pp.43-50, 2001-08

採卵鶏にアルファルファミールを10%(アルファルファ区)とβ-カロチン製剤を0.5%添加(製剤区)した飼料を給与し、卵質及び産卵性に及ぼす影響と機能性物質(β-カロチン)の卵中ヘの移行について検討した。1.産卵性及び飼料消費量、飼料要求率、増体重 産卵率は、製剤区、対照区、アルファルファ区の順に優れていた。平均卵重は、アルファルファ区が他の区と比べて有意に重かった。日産卵量は、製剤区がアルファルファ区に比べて有意に多かった。 給与飼料単価は、対照区91.75円/鶏卵1kgに対し、アルファルファ区98.10円/鶏卵1kgでC-1.07倍、製剤区244.86円/鶏卵1kgであった。 破卵率、飼料消費量、飼料要求率、増体重については、いづれも有意の差が認められなかった。2.卵質 卵黄色で差がみられ、カラーファンスコアは製剤区で薄くなる傾向が認められ、特に試験開始14日目のもので他の区に比べて有意に低くなった。また、L値(明度)、a値(赤色)、b値(黄色)で評価すると、製剤区で明るく、赤色の度合いが薄くなる傾向がみられた。一方アルファルファ区では、赤色度が濃くなる傾向を示した。 ハウユニット値、及び卵殻強度は、3区間で有意の差が認められなかった。3.機能性物質(β-カロチン) 卵黄中のβ-カロチン量は、試験開始14、28日目から製剤区が他の区に比べて有意に増加した。アルファルファ区では、対照区と比べて14、28日目でそれぞれ2.05~4.48倍となったが有意ではなかった。また、血清中のβ-カロチン量は、製剤区が試験開始28日目で他の区と比べて有意に増加した。 給与飼料中のβ-カロチンの出納をみると、摂取量に応じて卵黄中の含量、蓄積量が多くなったが摂取量が増加してもその移行率は低下する傾向を示した。以上の結果から、β-カロチンを目的とした機能性卵(高付加価値卵)の生産が可能であった。