著者
作田 敦 垪和 靖俊 御幡 寿
出版者
茨城県畜産センター
雑誌
茨城県畜産センター研究報告 (ISSN:13466488)
巻号頁・発行日
no.31, pp.73-77, 2001-08

本県の高級銘柄鶏「奥久慈しやも」と大衆内用鶏ブロイラーの中間的な肉質を持つ特定JAS規格に沿った特殊内用鶏の作出を目的に、当室保有の各種系統の鶏の交配様式を検討して来た(1)(2)(3)。今回は、雄に肉専用種ホワイトコーニッシュ(以下WC)とレッドコーニッシュ(以下RC)を用い、F1母鶏(二元交雑種)比内鶏×ロードアイランドレッド(以下比内ロード)に交配し、3元交雑種{WC×比内ロード(以下W・HR)並びにRC×比内ロード(以下R・HR)}のふ化率及び肥育日齢80日の発育体重、解体検査、肉質検査等を行った処、W・HRが新しい地鶏の交配様式に適していると思われた。しかし、羽毛色や肉色に改善の余地を残した。 なお、成績は下記のとおり。 1.ふ化成績は、W・HR、R・HRが受精率88.05%、88.48%、対受精卵ふ化率においては92.96%、92.71%とどちらも良い成績を示した。 2.育成率は、両交雑鶏ともに高くW・HR100%、R・HR97.14%であった。 3.肥育80B齢時の体重は、W・HRで雄3,331g、雌2,384g、R・HRで雄2,741g、雌1,970gであり、W・HRの雌雄どちらもR・HRに5%水準で有意性を示し、W・HRで雌雄平均2,857gを示した。 4.飼料要求率は、W・HRで雄2.55、雌2.65、R・HRで雄2.66、雌3.01とW・HRが良い成績を示した。 5.と体肉各部位の割合は、腹腔内脂肪を除きW・HRがR・HRを上回った。 6.肉質検査は、R・HR雌の胸肉肉色L値やR・HR雄の胸肉肉色b値でW・HRに対し有意性が見られ、若鶏に近い傾向を示したが、剪断力や破断力に差はみられなかった。 7.W・HR鶏肉におけるイノシン酸含量は、胸肉平均71.4mg/100g、腿肉平均35.8mg/100g、グルタミン酸含量は胸肉平均3,812.5mg/100g、腿肉平均3650.0mg/100gであった。
著者
藤原 謙一郎 加藤 由紀乃 御幡 寿
出版者
茨城県畜産センター
雑誌
茨城県畜産センター研究報告 (ISSN:13466488)
巻号頁・発行日
no.39, pp.31-36, 2006-09

抗菌製剤無添加飼育法を検討するため、無薬飼料を用いてコクシジウムワクチンと生菌剤を使用した区を設け、コクシジウム症の発生や発育成績に及ぼす影響について検討した。その結果、コクシジウムワクチンを使用することにより、コクシジウム症の発生を予防することが可能であることがわかり、無薬飼料による飼養が可能であることが示唆された。また生菌剤を飼料に配合することにより、発育体重及び飼料要求率が改善されたことから、抗菌性物質と同程度とはいかないものの、増体改善効果があることがわかった。これらのことより、コクシジウムワクチンと生菌剤を使用することにより、無薬飼料による飼養が可能であることが示唆された。
著者
須藤 正巳 御幡 寿 宮口 右二
出版者
茨城県畜産センター
雑誌
茨城県畜産センター研究報告 (ISSN:13466488)
巻号頁・発行日
no.31, pp.43-50, 2001-08

採卵鶏にアルファルファミールを10%(アルファルファ区)とβ-カロチン製剤を0.5%添加(製剤区)した飼料を給与し、卵質及び産卵性に及ぼす影響と機能性物質(β-カロチン)の卵中ヘの移行について検討した。1.産卵性及び飼料消費量、飼料要求率、増体重 産卵率は、製剤区、対照区、アルファルファ区の順に優れていた。平均卵重は、アルファルファ区が他の区と比べて有意に重かった。日産卵量は、製剤区がアルファルファ区に比べて有意に多かった。 給与飼料単価は、対照区91.75円/鶏卵1kgに対し、アルファルファ区98.10円/鶏卵1kgでC-1.07倍、製剤区244.86円/鶏卵1kgであった。 破卵率、飼料消費量、飼料要求率、増体重については、いづれも有意の差が認められなかった。2.卵質 卵黄色で差がみられ、カラーファンスコアは製剤区で薄くなる傾向が認められ、特に試験開始14日目のもので他の区に比べて有意に低くなった。また、L値(明度)、a値(赤色)、b値(黄色)で評価すると、製剤区で明るく、赤色の度合いが薄くなる傾向がみられた。一方アルファルファ区では、赤色度が濃くなる傾向を示した。 ハウユニット値、及び卵殻強度は、3区間で有意の差が認められなかった。3.機能性物質(β-カロチン) 卵黄中のβ-カロチン量は、試験開始14、28日目から製剤区が他の区に比べて有意に増加した。アルファルファ区では、対照区と比べて14、28日目でそれぞれ2.05~4.48倍となったが有意ではなかった。また、血清中のβ-カロチン量は、製剤区が試験開始28日目で他の区と比べて有意に増加した。 給与飼料中のβ-カロチンの出納をみると、摂取量に応じて卵黄中の含量、蓄積量が多くなったが摂取量が増加してもその移行率は低下する傾向を示した。以上の結果から、β-カロチンを目的とした機能性卵(高付加価値卵)の生産が可能であった。