著者
須貝 章弘 小宅 睦郎 梅田 麻衣子 梅田 能生 藤田 信也
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.746-749, 2008 (Released:2008-12-01)
参考文献数
10
被引用文献数
10 11

症例は75歳女性である.発熱と頭痛の後,左外眼筋麻痺と失明をきたした.蝶形骨洞炎と肥厚性硬膜炎をともない,β-Dグルカンが陰性で生検は未施行であったが,深在性アスペルギルス症を想定しボリコナゾール投与を開始した.治療開始後5日目から症状の改善がみられ,血清アスペルギルス抗原陽性が判明した.深在性アスペルギルス症による眼窩尖端症候群の既報告例では,ステロイド投与を先行させたばあい,きわめて予後が悪く致命的になっている症例が多い.ステロイドが奏効する疾患との鑑別も難しいが,確定診断が困難な症例に対してはステロイド投与に先行して抗真菌剤投与による診断的治療を検討すべきと考えられた.
著者
畠野 雄也 須貝 章弘 山岸 拓磨 中島 章博 柿田 明美 小野寺 理
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.187-192, 2020 (Released:2020-03-31)
参考文献数
15

アミロイドβ関連血管炎(amyloid β-related angiitis)では,皮質や皮質下の微小出血や脳表ヘモジデリンの沈着が,脳MRI上の重要な所見である.我々は,治療前にはこれらの所見を呈さなかったアミロイドβ関連血管炎を提示する.症例は75歳女性.右同名半盲と失語で発症し,昏睡に至った.脳MRIでは,びまん性の軟髄膜造影病変と散在性のDWI高信号病変を認めたが,T2*WIでは微小出血は検出されなかった.病理所見からアミロイドβ関連血管炎と診断した.ステロイド治療により画像所見,臨床症状ともに改善した.治療後のsusceptibility-weighted imaging(SWI)では多数の微小出血を認めた.アミロイドβ関連血管炎の非侵襲的診断のために,微小出血以外の画像の特徴を集積すべきである.