著者
今野 卓哉 梅田 能生 梅田 麻衣子 河内 泉 小宅 睦郎 藤田 信也
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.330-333, 2011 (Released:2011-05-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1 6

症例は49歳女性である.スピルリナ(サプリメント含有成分)を摂取した数日後に顔面から両上肢・体幹へと拡大する浮腫性紅斑が出現した.2カ月後にスピルリナを中止した後も皮疹は増悪し,5カ月後に筋力低下と筋原性酵素の上昇をみとめ,当科に入院した.筋生検では,多数の壊死線維と好酸球の浸潤をみとめ,免疫染色では血管周囲にCD20陽性B細胞の集簇をみとめた.副腎皮質ステロイドとシクロフォスファミドを併用し,症状は改善した.スピルリナはtumor necrosis factor(TNF)-αの産生を促進するなどの免疫刺激作用を有し,これにより皮膚症状をともなった炎症性筋疾患の発症がうながされた可能性があると考えられた.
著者
須貝 章弘 小宅 睦郎 梅田 麻衣子 梅田 能生 藤田 信也
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.746-749, 2008 (Released:2008-12-01)
参考文献数
10
被引用文献数
10 11

症例は75歳女性である.発熱と頭痛の後,左外眼筋麻痺と失明をきたした.蝶形骨洞炎と肥厚性硬膜炎をともない,β-Dグルカンが陰性で生検は未施行であったが,深在性アスペルギルス症を想定しボリコナゾール投与を開始した.治療開始後5日目から症状の改善がみられ,血清アスペルギルス抗原陽性が判明した.深在性アスペルギルス症による眼窩尖端症候群の既報告例では,ステロイド投与を先行させたばあい,きわめて予後が悪く致命的になっている症例が多い.ステロイドが奏効する疾患との鑑別も難しいが,確定診断が困難な症例に対してはステロイド投与に先行して抗真菌剤投与による診断的治療を検討すべきと考えられた.
著者
滑川 将気 荻根沢 真也 木村 暁夫 下畑 享良 小宅 睦郎 藤田 信也
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001713, (Released:2022-04-26)
参考文献数
15

症例は,61歳男性.2年前と6か月前に全身けいれん発作を起こし,5ヶ月前からの歩行障害が悪化して入院した.認知機能低下,下肢痙性と体幹失調,自律神経障害を認めた.髄液細胞増多があり,MRIで大脳半卵円中心の点状造影効果を伴う白質病変と長大な頸髄病変を認めた.ステロイドパルス療法で軽快したが2ヶ月後に再燃し,新たに頸髄側索の病変を認めた.髄液の抗glial fibrillary acidic protein(GFAP)α抗体が陽性で,自己免疫性GFAPアストロサイトパチー(GFAP-A)と診断した.GFAP-Aは,亜急性で予後良好の経過が多いとされるが,慢性難治性の経過をたどった.
著者
滑川 将気 荻根沢 真也 木村 暁夫 下畑 享良 小宅 睦郎 藤田 信也
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.386-390, 2022 (Released:2022-05-31)
参考文献数
15

症例は,61歳男性.2年前と6か月前に全身けいれん発作を起こし,5ヶ月前からの歩行障害が悪化して入院した.認知機能低下,下肢痙性と体幹失調,自律神経障害を認めた.髄液細胞増多があり,MRIで大脳半卵円中心の点状造影効果を伴う白質病変と長大な頸髄病変を認めた.ステロイドパルス療法で軽快したが2ヶ月後に再燃し,新たに頸髄側索の病変を認めた.髄液の抗glial fibrillary acidic protein(GFAP)α抗体が陽性で,自己免疫性GFAPアストロサイトパチー(GFAP-A)と診断した.GFAP-Aは,亜急性で予後良好の経過が多いとされるが,慢性難治性の経過をたどった.
著者
今野 卓哉 梅田 能生 梅田 麻衣子 河内 泉 小宅 睦郎 藤田 信也
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.330-333, 2011-05-01
参考文献数
14
被引用文献数
6

症例は49歳女性である.スピルリナ(サプリメント含有成分)を摂取した数日後に顔面から両上肢・体幹へと拡大する浮腫性紅斑が出現した.2カ月後にスピルリナを中止した後も皮疹は増悪し,5カ月後に筋力低下と筋原性酵素の上昇をみとめ,当科に入院した.筋生検では,多数の壊死線維と好酸球の浸潤をみとめ,免疫染色では血管周囲にCD20陽性B細胞の集簇をみとめた.副腎皮質ステロイドとシクロフォスファミドを併用し,症状は改善した.スピルリナはtumor necrosis factor(TNF)-&alpha;の産生を促進するなどの免疫刺激作用を有し,これにより皮膚症状をともなった炎症性筋疾患の発症がうながされた可能性があると考えられた.<br>
著者
今野 卓哉 山田 慧 笠原 壮 梅田 能生 小宅 睦郎 藤田 信也
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.657-660, 2015 (Released:2015-09-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例は69歳男性である.ネコ咬傷により発症した蜂窩織炎と敗血症の治療中に,頭痛,軽度の喚語困難と右不全片麻痺が出現した.頭部MRI拡散強調画像(diffusion-weighted image; DWI)で左大脳半球の硬膜下に三日月形の低信号病変を認め,慢性硬膜下血腫が疑われたが,7日後に神経症状が増悪し,硬膜下病変はDWI高信号に変化した.ネコの口腔内常在菌であるPasteurella multocidaによる硬膜下膿瘍の報告があり,本例は,既存の硬膜下血腫に血行性に細菌が感染して膿瘍化した感染性硬膜下血腫と考えられた.本例は,血腫から膿瘍への変化を画像的に追跡し得た貴重な症例である.