著者
風間 みえ Kazama Mie
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = Niigata medical journal (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.130, no.4, pp.237-243, 2016-04

日本の10代の性行動や性意識はインターネットの普及や性情報の氾濫に伴い大きく変化しており, 性行動は低年齢傾向を辿っている. 教育現場では, 中学生に「生命と性」に関する授業, すなわち生命教育と性の健康教育に関する授業を行なっているが, その学習効果は十分に解明されてはいない. そこで本研究では公立中学校の3年生205名に対して生命と性についての授業介入前後にアンケートを行い, 介入効果を調査した. 調査項目は, 「自尊感情」, 「性別の受け止め」, 「男女交際をどの程度まで認めるか」, 「性交のイメージ」, 「性交への意識」の5項目とし, それらを授業前, 授業直後, 授業後2ヵ月に調べた. 自尊感情に関しては, 授業直後から上昇し授業後2ヵ月の時点でさらに上昇が見られた. 性別の受け止めについては, 女子において授業直後で有意に上昇したが授業後2ヵ月時点には上昇は有意でなかった. 「男女交際の限度」, 「性交のイメージ」, 「性交への意識」に関しては, 授業介入の効果は見られなかった. 中学生への生命と性の授業介入で, 自尊感情の上昇と自身の性を肯定することを実証した.