著者
伊沢 寛志
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.116, no.12, pp.606-618, 2002-12

A total of 371 suicide notes were collected in 868 suicide cases investigated by the Niigata prefectural police during one year of 1999. The ratio of suicide completers (297 cases) who left their notes was 34.2%. The suicides were classified according to sex, age, suicide manner, motivation, history of mental illness and previous attempts or threats of suicide. The detailed form was investigated and their message of the notes was examined using 14 key words including apology, pain of sickness, thanks, requests after death and unwilling part. The psychological status of the note can be understood as a combination of the key word. The result of key word classification showed that many factors are comprised in a motive of suicide. The police made a classification of suicide motive into 8 classification and limited it to one, but it was difficult to select a main motive to only one
著者
鈴木 宏 Suzuki Hiroshi
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.124, no.4, pp.181-186, 2010-04

10年前からパンデミック発生が危惧されてきたが, 2009年春に豚インフルエンザH1N1からのパンデミックとなった. 発生後既に1年を経過しようとしているが, 今回の流行は, これまでの想定とはまったく異なり, 多くの点でシナリオの変更を余儀なくされる程の混乱を招いた. 今回の混乱を来たした最大の点は, パンデミック対策の基本とすべき罹患率と致死率などのよる重症度分類が今でも提示されないことにある. 今回のパンデミックは, 季節性インフルエンザの規模と近いくらいであり, 対応としてやり過ぎの面はあるが, 第二波や将来の次のパンデミックに備える一つの試練ととらえ, 各部署での今回の総括を早期に行うべきと思われる.
著者
上原 沙織 石黒 宏美 初谷 周子 大橋 恵美 尾山 真理 土屋 康雄 中村 和利 Uehara Saori Ishiguro Hiromi Hatsugai Shuko Ohashi Emi Oyama Mari Tsuchiya Yasuo Nakamura Kazutoshi
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.123, no.6, pp.311-317, 2009-06

紫外線は, 様々な皮膚症状や眼症状, 免疫機能低下などの健康影響を引き起こすことが示されている. これらの健康影響を防止するためには, 紫外線環境を正しく把握する必要がある. そこで, 2008年10月22日, ハワイ, ワイキキビーチにおいて, 日照地点と目陰地点の紫外線強度の日内変動, 及び各種商品による紫外線カット率を調べた. 日照地点の直射方向, 水平方向, 日陰地点の垂直方向, 水平方向, 地面方向からの紫外線は12時に最高値を示し, 日照地点の垂直方向, 地面方向は15時に最高値を示した. すべての方向で山型のグラフを示すことが明らかとなった. 各種商品の紫外線カット率は, 縁Tシャツ, 日傘, 日焼け止めクリーム, 雨傘はほぼ90%を示したが, 白Tシャツは68%程度であることが示された. 日照地点では9時から15時の間はUV indexが3以上を示したことから, 日焼け止めクリーム, 濃い色のTシャツ, 日傘, 雨傘などの有効な紫外線対策が必要であると考えられた. 今後, 紫外線の影響を防止する観点から, 日焼け止めクリームの紫外線カット率の経時変化などについて焦点を当てて調査する必要があると考える.
著者
川俣 治
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.111, no.10, pp.633-646, 1997-10

In order to detect enterovirus and rhinovirus sequences as separately for the virus genera by single test of RT-PCR (reverse transcription-polymerase chain reaction), two sets of the primers were prepared covering the 5'-NTR (nontranslated region) to the VP4 in the virus genome for amplification. The sequences selected for detection included a deletion of ca. 120 b (bases) stretch in the rhinovirus genome so as to get the products separate in the electrophoretic mobilities for each virus groups. The first set of the primers consisted of P3 (5'-GGCCCCTGAATGCGGCTAAT-3') and P5 (3'-GTTCTGGGATCATTTAAGTG-5') and the second was of P4 (5'-ACTTTGGGTGTCCGTGTTTC-3') and P5;the P3 and P4 (for a closer site to the P5 compared to the P3 site) were complementary to the sequences in the 5'-NTR of 95~100% homology and P5 being in the VP4 region complementary to the sequence of 60~90% homology through the two virus groups, each. By considering the relatively low homology in the counterpart site, the P5 primer was employed for initiation of the reverse transcription at a low temperature of 37℃ for promoting the primer annealing to the template RNA. When applied to the prototype strains, the P3-P5 primers gave a single band equivalent to 460 b DNA for the enteroviruses (43/44 serotypes) and that of 340 b DNA for the rhinoviruses (8/8 serotypes), thus enabling to easily discriminate the two virus groups on the separate mobilities of the products. Similarly, the products by the P4-P5 primers were of 340 b and 220 b DNAs for enteroviruses (43/44 serotypes) and rhinoviruses (8/8 serotypes), respectively, again being of easy discrimination of the virus groups. Of these experiments, authenticity of the products was confirmed by base sequence analysis with selected product samples from the experimental groups. The primers prepared were also compared for the efficiencies of virus detection in the clinical specimens with the tissue culture method for virus isolation. Positive ratios resulted were 65/96 by the RT-PCR and 54/96 by the tissue culture method. The primers thus proved effective for rapid and discriminative detection of enteroviruses and rhinoviruses to the laboratory diagnosis.
著者
高橋 邦行
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = Niigata medical journal (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.132, no.11, pp.369-375, 2018-11

側頭骨は聴覚,平衡覚のセンサーなどの精密器官や,重要な神経,血管を内部に含む.一方で中耳炎などの炎症疾患が生じやすい部位であり,炎症制御や聴力改善を目的とした手術が行われる.側頭骨手術は,術野が狭い顕微鏡下の手術であること,一度重要構造物を損傷すると不可逆的になることなどの理由から,手術を行う際には三次元的な解剖の熟知が必須であり,難易度の高い手術と考えられていた.しかし近年,さまざまな模擬手術を行うことができるデバイスが発展し,実際の手術以外からも側頭骨解剖を学ぶことができる機会が増えてきた.現在ではカダバー,バーチャルリアリティー,3Dモデルを使用した側頭骨手術トレーニング,シミュレーションが可能であるが,それぞれ利点,欠点が存在する.そのうち3Dモデルは特に有用であり,高いトレーニング効果がみられる.コスト面や手間の問題が解決されることで,3Dモデルは今後さらに普及することが予想され,安全で確実な側頭骨手術に貢献できると期待される.
著者
山崎 理
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.128, no.12, pp.615-619, 2014-12

2009(平成21)年の新型インフルエンザA/H1N1対応の経験を踏まえ, 2012(平成24年)に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が制定され, 政府行動計画, ガイドラインが策定された. これを受け, 新潟県においても新たに行動計画を策定し, 対応を行うこととなった. 新たな政府行動計画では, 「新型インフルエンザ等対策の強化を図り, 国民の生命及び健康を保護し, 国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小限になるようにする」ことが目的として掲げられ, 対策に伴う外出自粛要請や物資収用等の私権制限も盛り込んだ体系となっている. 県行動計画では, 県知事による県内の対策の総合調整, 特措法に定める緊急事態措置(外出自粛要請等)の実施, 病原性・感染力の程度に応じた対策の選択・切替がポイントとして挙げられる. 今後の総合的な対応及びその準備に向け, 関係各位の一層の御協力をお願いしたい.
著者
安保 徹
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.128, no.2, pp.51-56, 2014-02

免疫系は二層構造になっていることを明らかにしました. 生物が上陸した後に, 外来抗原向けにクローンを構成したのが, 新しい免疫系です. 胸腺や骨髄で作られるT細胞やB細胞です. 一方, 生物が上陸する以前から存在したのが古い免疫系です. 腸や肝臓で作られるNK細胞, 胸腺外分化T細胞, 自己抗体産生B-1細胞です. 私たちは, 若い時はT細胞, B細胞中心の免疫系で守られていますが, 加齢やストレスや細胞内寄生感染症が起こると, 古い免疫系に立ち戻ります. これによって異常自己を排除しているのです. 自己免疫疾患も免疫系の失敗や異常で起こっているのではありません. ストレス反応なのです. この時, 進化した新しい免疫系は抑制状態になっています. 治療の問題点にも気付けるでしょう.
著者
温 雅楠
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.127, no.11, pp.605-619, 2013-11

臨床検体による大規模ゲノムワイド関連解析によって, SORL1(Sortilin-Related Receptor, L[DLR Class]A Repeats Containing)が晩期発症型アルツハイマー病(LOAD:late-onset Alzheimer's disease)と相関することが報告された. 臨床診断された検体のみならず, 神経病理学的に診断された検体においても, SORL1がLOADと遺伝統計学的に相関するかどうかを検討することは重要である. そこで本研究では神経病理学的に確定診断された検体を対象として, SORL1と日本人LOADとの関連を遺伝統計学的に解析した. 孤発性LOAD 213例, 対照370例の計583例を用いて, SORL1に位置する既報の19カ所の1塩基多型(SNP:single nucleotide polymorphism)をTaqMan法でタイピングし, 各SNPの遺伝型を決定した. ケースコントロール研究によって19 SNPのうち5 SNPは多重比校補正後もLOADと有意に相関した(P_<allele><2.63E-03[=0.05/19]). 年齢, 性別, APOE-ε4アレルの有無を補正したロジスティック回帰解析でもこれら5 SNPはLOADと有意に相関した. HapMapデータベースの日本人SNPを用いたin silico解析から, SORL1には2つの大きな連鎖不平衡(LD:linkage disequilibrium)領域があり, それらは組換えホットスポットで分割されていることが分かった. 有意な相関を示した5 SNPのうち3 SNP(rs985421, rs12364988, rs4598682)はSORL1の5'側のLD領域に位置し, 残りの2 SNP(rs3781834, rs3781836)は3'側のLD領域に位置していた. 各LD領域内のSNP間では強力なLDが認められたことから, SORL1にはLOADと相関する領域が2カ所あることが明らかになった. ヒト凍結死後脳(前頭葉)からRNAを抽出しSORL1の遺伝子発現解析を行ったところ, LOADと対照との間に有意な発現量の差は認められなかった. 神経病理学的に診断された検体による解析でもSORL1は日本人LOADと遺伝統計学的に有意に相関することが再現できたので, SORL1はLOADの有力な感受性遺伝子の1つであると考えられる.
著者
島田 能史 松尾 仁之 小林 孝
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.17-20, 2004-01

症例は60歳女性.右乳癌の診断にて入院した.手術当日グリセリン浣腸施行中に強い疼痛を訴え,その後も強い肛門部痛と嘔吐が持続した.臀部は腫脹し,肛門内から少量の出血を認めた.直腸診で直腸粘膜の欠損を触知し,浣腸時の直腸穿孔およびグリセリン液の管腔外注入が考えられた.浣腸後から自尿は無く,約10時間後の導尿では少量の血尿が得られた.補液と強制利尿にも反応無く,翌日急性腎不全と診断し,血液透析を開始した.計3回の血液透析で,腎機能は利尿期を経て約2週間後に正常に回復した.臀部の発赤,腫脹も受傷10日目には自然に消失し,直腸周囲での膿瘍形成も無かった.本症例は高濃度のグリセリン液が血中に入ったことにより,赤血球の膜障害と溶血が起こり,急性腎不全を引き起こしたと考えられた.以前より高濃度のグリセリンが血中に入ると溶血を起こすことは広く知られている.グリセリンが溶血を起こす機序については,赤血球の膜障害による高度の溶血が原因として推測されている.溶血が起こると大量の遊離ヘモグロビンが発生し,尿細管上皮内に再吸収されヘムとグロビンに分解される.ヘムは細胞毒として作用するため腎不全が発生するとされている.腎不全発生を予防するためには,遊離ヘモグロビンの除去が重要とされる.遊離ヘモグロビンは大分子物質であるため,その除去には血漿交換が有効と考えられている.また,遊離ヘモグロビンと結合し肝臓に運び処理するハプトグロビン投与も有効とされている.グリセリン浣腸時に患者が疼痛や気分不快および強い疼痛等を訴えた場合には,浣腸による直腸粘膜の損傷や穿孔の可能性がある.さらに腸管外へのグリセリン液注入は溶血から急性腎不全を発症する場合もあり,注意深い観察と迅速な対応が必要である.
著者
小田 純一 Oda Jun-ichi
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.109, no.7, pp.315-319, 1995-07

The photofluoloscopic examination is widely used in Japan for mass screening of lung cancer. But efficacy of mass screening used this method is not sufficient for improve the survival rate of the screened population. So, recently new radiological modalities are proposed for improve the efficacy of mass screening. We tried to evaluate the effectiveness of some of these new modalities, Computed Tomography (CT) and Computed Radiography with energy subtraction method (CR-ES). We used these two new modalities to the outpatients of our department who were detected by mass screening for lung cancer in Niigata City. In the first place, we compared CT with conventional radiography (CONV). These two examinations were done to the 342 outpatients at the same day in the last four years, and 334 abnormal lesions were found out by CT. Among these lesions checked by CT, 234 lesions (70 %) were detected by CONV. As a result, we concluded that if using CT for mass screening, the detectability of abnormal lesions will be improved at least 30 % than now. Next, we compared CR-ES with CONV. These two examinations and CT were done to the 36 outpatients in a last half year, and 43 abnormal lesions were detected by CT. Thirty-one of these 43 lesions (72 %) were detected by CR-ES, and twenty-six (60 %) by CONV. So, we concluded that if using CR-ES for mass screening, the detectability will be improved about 10 % than now.