- 著者
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相馬 行男
- 出版者
- 新潟医学会
- 雑誌
- 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
- 巻号頁・発行日
- vol.120, no.6, pp.324-328, 2006-06
注意欠陥多動性障害(ADHD)の有病率の研究は多数行われている.しかし,ADHD診断マニュアルDSM-III-Rを使って,就学前の子どもを調査した論文は,著者の知る限りほとんど見当たらない.そこで本研究では,DSM-III-Rを用い,新潟市内の保育園児と幼稚園児を対象に,保育士と幼稚園教諭による自記式調査を行った.その結果,以下のことが明らかになった.1 ADHD有所見者数は,3歳児では3,223人中181人(5.6%),4歳児では3,333人中149人(4.5%),5歳児では3,400人中101人(3.0%)であった.ADHD有所見者数は,女子より男子が有意に多く,3歳児では男子が1,688人中148人(8.8%),女子が1,535人中33人(2.1%)(男子/女子=4.2),4歳児では男子が1,707人中126人(7.4%),女子が1,626人中23人(1.4%)男子/女子=5.3),5歳児では男子が1,719人中84人(4.9%),女子が1,681人中17人(1.0%)(男子/女子=4.9)であった.2 ADHD有所見者数は,保育園児が幼稚園児より有意に多く,3歳児では保育園児が1,950人中138人(7.1%),幼稚園児が1,273人中43人(3.4%)(保育園児/幼稚園児=2.1),4歳児では保育園児が1,971人中125人(6.3%),幼稚園児が1,362人中24人(1.8%)(保育園児/幼稚園児=3.5),5歳児では保育園児が1,959人中75人(3.8%),幼稚園児が1,441人中26人(1.8%)(保育園児/幼稚園児=2.1)であった.