著者
飛澤 慎一 堀 仁子 高橋 英俊 山本 明美 橋本 喜夫 水元 俊裕 飯塚 一
雑誌
皮膚科の臨床 (ISSN:00181404)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.285-288, 2004-02

雑誌掲載版80歳男.約5ヵ月前に出現した痒みを伴う皮疹が全身に拡大し,掻痒も増強したため受診した.体幹及び四肢に角化性局面が多発し,病理組織学的に皮疹辺縁部に不全角化細胞の柱状堆積と角質増殖を認め,その直下の顆粒層消失,表皮細胞の空胞化,基底細胞の配列の乱れ等もみられた.抗アレルギー剤,抗ヒスタミン剤の内服とステロイド外用剤の塗布で効果が得られず,シロスタゾールとエトレチナートの内服にプレドニゾロンを追加したところ掻痒の軽減,局面の軽度縮小,皮疹辺縁隆起部の紅斑消退を認め,皮疹も改善した
著者
岸部 麻里 岸山 和敬 中嶋 雅秀 石川 信義 小原 雅人 荒川 穣二 山川 康 飛澤 慎一 飯塚 一
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.113, no.1, pp.31-36, 2003

2001年2月から5月までの4カ月間に当科で15歳以上の麻疹44例を経験し,臨床症状・検査所見の検討を行った.年齢は15歳から41歳(平均20.6歳)で,麻疹ワクチン接種者が4例いたが,未接種またはワクチン歴の不明なものが9割以上を占めていた.臨床症状では,全例発熱を認め,咽頭痛,咳嗽,下痢,嘔気/嘔吐を認めた.Koplik斑は42例(96%)に認め,診断上有意義な所見であった.臨床検査成績について,同時期に当院小児科で経験した15歳未満の麻疹患者と比較した結果,15歳以上例で血小板減少,肝機能障害の出現を高頻度に認めた.合併症は,細菌性肺炎が1例,麻疹脳炎が1例であった.妊婦麻疹を3例経験し,2例に切迫流早産を生じたが,その後の妊娠経過は良好で3例とも出産に到り,児に異常は認められなかった.近年,麻疹感染の高年齢化やこれに伴う妊婦麻疹の増加が指摘されており,思春期・成人の麻疹感受性者に対する麻疹ワクチン接種が必要と考えた.