著者
林 圭 西 薫 堀 仁子 山本 明美
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.671-674, 2016-08-01

要約 25歳,男性.ブリ摂食後に蕁麻疹の出現を数回経験していた.生寿司を摂取後に顔面の瘙痒と息苦しさを自覚し,救急外来を受診した.クロルフェニラミンマレイン酸塩とメチルプレドニゾロンの点滴を行ったところ症状は速やかに改善した.問診の結果,ハマチの寿司を摂食したことが原因であると考えられた.魚介類のIgE-RAST検査はすべて陰性であり,マグロ,カツオ,シメサバ,アジ,ブリ,ハマチでプリックテストでは,ブリとハマチのみに陽性を示した.病歴からヒスタミン中毒やアニサキスアレルギーは否定的であり,ブリ(ハマチ)単独のアレルギーと診断した.ブリ(ハマチ)のアレルギーではパルブアルブミンやコラーゲンなどの抗原蛋白の関与は低いとされている.ブリは比較的有名な出世魚であるが,患者はブリとハマチが同種の魚であることを知らなかった.魚は地域や大きさによりさまざまな呼び名が存在するため,医療者側も注意が必要である.
著者
飛澤 慎一 堀 仁子 高橋 英俊 山本 明美 橋本 喜夫 水元 俊裕 飯塚 一
雑誌
皮膚科の臨床 (ISSN:00181404)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.285-288, 2004-02

雑誌掲載版80歳男.約5ヵ月前に出現した痒みを伴う皮疹が全身に拡大し,掻痒も増強したため受診した.体幹及び四肢に角化性局面が多発し,病理組織学的に皮疹辺縁部に不全角化細胞の柱状堆積と角質増殖を認め,その直下の顆粒層消失,表皮細胞の空胞化,基底細胞の配列の乱れ等もみられた.抗アレルギー剤,抗ヒスタミン剤の内服とステロイド外用剤の塗布で効果が得られず,シロスタゾールとエトレチナートの内服にプレドニゾロンを追加したところ掻痒の軽減,局面の軽度縮小,皮疹辺縁隆起部の紅斑消退を認め,皮疹も改善した