著者
飯尾 彩加
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.1159, 2016 (Released:2016-12-01)
参考文献数
3

麻薬性鎮痛薬は,多幸感や快楽に加え,使用中止による嫌悪感や退薬症候の回避のため,「心」と「体」が薬を止めたくても止められない状態にする.麻薬性鎮痛薬を使用し続けようとする強い欲求は,快楽や嫌悪感回避のいずれも脳内報酬系と呼ばれる神経回路により調節されており,側坐核と呼ばれる脳領域が重要であると指摘されている.これまでの研究から,側坐核への様々な神経系の入力が快楽や多幸感を調節していることは明らかになっているが,薬物の中断による嫌悪感や退薬症候を回避するための薬物への強い渇望における側坐核の役割については,あまり知られていなかった.Zhuらは,この麻薬性鎮痛薬の中止時に見られる嫌悪感や退薬症候が,快楽を作り出す脳領域と同じ領域で作り出されるが,異なる神経回路を利用して生み出されることを明らかにしたので紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Zhu Y. et al., Nature, 530, 219-222 (2016).2) Pascoli V. et al., Nature, 509, 459-464 (2014).3) Browning J. R. et al., Drug. Alcohol. Depend., 134, 387-390 (2014).