著者
松田 佳子 森末 正博 飯島 崇史 元井 信
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.472-477, 2011 (Released:2011-08-25)
参考文献数
13

症例は42歳,女性.心窩部痛が出現し,翌日になっても症状が続くため当院を受診した.初診時は心窩部に腹膜刺激症状と腹部CT検査にて大網内に粗大な石灰化を伴う多結節状の腫瘤と骨盤内に腹水の貯留を認めた.よって悪性腫瘍の腹膜播種や胃粘膜下腫瘍,あるいは汎発性腹膜炎なども疑われたため,腹腔鏡下に観察することとした.術中所見は胃前庭部幽門輪大彎側に10×7cm大の腫瘤を認めた.腫瘤は浮腫様で境界も不明瞭であり,胃壁に強固に癒着していた.よって胃壁の1部とともに腫瘤を摘出した.切除標本の病理組織学的検査所見では膵の構成成分を有しておりHeinrich I型の迷入膵と診断した.