著者
万代 光一 森脇 昭介 土井原 博義 中西 慶喜 元井 信 池尻 公二
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.711-716, 1990-07-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
22

各種臓器に発生するblastomaの形態学的共通点あるいは組織発生を明らかにするために, 腎芽腫2例, 肝芽腫1例, 肺芽腫1例および成人の卵巣中胚葉混合腫瘍2例と肝芽腫様の変化を伴つた肝細胞癌の1例を対象とし, 形態学的観察を行うとともに, 上皮系および間葉系組織マーカーについて免疫組織化学的検討を行つた.腎芽腫と肝芽腫は小児例であり, 肺芽腫と中胚葉混合腫瘍は, 成人に発生した. 肺芽腫と中胚葉混合腫瘍は, 形態学的および免疫組織化学的に類似し, 肺芽腫は未分化間葉細胞起源であることが示唆された. 腎芽腫のblastema様細胞にはS-100免疫活性が証明された. また, 部分的に肝芽腫様に組織形態が変化した成人肝細胞癌の1例が経験された.
著者
松田 佳子 森末 正博 飯島 崇史 元井 信
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.472-477, 2011 (Released:2011-08-25)
参考文献数
13

症例は42歳,女性.心窩部痛が出現し,翌日になっても症状が続くため当院を受診した.初診時は心窩部に腹膜刺激症状と腹部CT検査にて大網内に粗大な石灰化を伴う多結節状の腫瘤と骨盤内に腹水の貯留を認めた.よって悪性腫瘍の腹膜播種や胃粘膜下腫瘍,あるいは汎発性腹膜炎なども疑われたため,腹腔鏡下に観察することとした.術中所見は胃前庭部幽門輪大彎側に10×7cm大の腫瘤を認めた.腫瘤は浮腫様で境界も不明瞭であり,胃壁に強固に癒着していた.よって胃壁の1部とともに腫瘤を摘出した.切除標本の病理組織学的検査所見では膵の構成成分を有しておりHeinrich I型の迷入膵と診断した.