著者
赤塚 真依子 飯村 浩太郎 高山 百合子 源 利文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.17, pp.23-17158, 2023 (Released:2023-11-01)
参考文献数
11

環境DNAを活用した水生生物モニタリングは経時的な生物情報の収集手段として期待されている.他方,海域では流れの変化が大きく,環境DNA量は採水地点や時刻により変わるため,流れの影響を把握してサンプリングすることが重要である.本研究では固着生物であるアマモを対象に,藻場における環境DNAの時空間分布特性の把握を試みた.海域調査では環境DNAの岸沖方向の分布と藻場内の時間変化を捉えることができ,これにより藻場の環境DNAは藻場分布に依存して藻場より数100m広い範囲に分布が形成され,流れによりその分布形状が変化することが示唆された.また環境DNAを物質濃度に模擬した移流拡散計算により時空間分布を定性的に再現し,流れの条件を変えたケーススタディによって最適な採水範囲を選定する方法について提案した.