著者
隅田 英一郎 土井 伸一 飯田 仁水 山端 潔
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.137-138, 1993-03-01

自然言語処理における最も困難な問題の一つに、構造的曖昧性の解消がある。例えば、前置詞句の係り先は典型的な構造的曖昧性を引き起こす。(1)I present a paper at the conference.例文(1)の前置詞句「at the conference」は、動詞「present」、名詞「paper」の両方を修飾しうる。一般に前置詞句の係り先は構文規則による解析だけでは一意に決定することが困難である。この例では前者の方が自然であるとしてよいだろう。例文(1)の翻訳を考えてみる。二つの係り先の相違は、それぞれ「会議で論文を発表する」、「会議での論文を発表する」と異なった日本語訳になるが、やはり前者の方が尤もらしい。このように前置詞を含む文を正しく翻訳するためには前置詞句の係り先の暖味性を解消する必要がある。既に、構文的な情報、統計的な情報などを利用して複数の係り先候補から尤もらしいものに絞り込む手法が数多く提案されている。筆者らは対訳コ-パスから用例(原言語表現とその対訳の対)を抽出し、入力表現と用例との間の意味的距離をシソーラスに従って計算し、最小距離の用例に基づいて訳語選択を行なう手法(Exampl-Based Machine Tralation EBMT)を提案している。