著者
飯田 光明
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.440-445, 2011-12-15 (Released:2016-08-31)
被引用文献数
1

2011 年3 月11 日の東北地方太平洋沖地震により(独)産業技術総合研究所の東北及びつくばセンターが被った研究施設の被害状況と復旧活動について紹介する.負傷者は非常に少なかったものの,居住不可となる建物が1 棟発生,室内も高層階ほど一応の耐震固定を施した機器,什器類まで転倒した.研究機器も被害が大きく,地上階に設置していた大型機器も背の高い機器は多くが損傷した.研究インフラで被害が大きかったのは,屋上の排ガス処理装置と,地中埋設の研究排水管であった.防災マニュアル整備,避難訓練,緊急地震速報の導入,什器類特に薬品庫やボンベの耐震固定の徹底,備蓄品の整備等は非常に有効だったが,高層階ほど強固な耐震固定,観音開き収納庫対策,適切な行動マニュアルとチェックリストの整備等が新たに得た教訓であった.
著者
山隈 瑞樹 荒井 充 畑中 修二 細谷 文夫 飯田 光明 小勝 一弘
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.165-173, 2005-06-15 (Released:2016-12-30)
参考文献数
13

煙火薬製造における静電気危険性を把握するために,主要な工程を対象に帯電量の測定等を行った.その結果,ふるい分け作業において原料粉体が強く帯電することが判明した.硫黄の帯電量は際だって大きく,過塩素酸カリウムおよびアルミニウムはほぼ同等の帯電量であった.作業者が帯電防止をしていない場合には,2 kg のアルミニウム粉体のふるい分け作業によって最大15 kV に帯電した.小分け作業においては,アルミニウムをポリエチレン製スコップで取り扱った際に大きく帯電した.帯電した煙火粉体を絶縁性容器に入れた場合には,接地導体を接近させると粉体表面との間で着火性のある静電スパークが観測された.通常の作業条件においては,3 ~10 kg 程度の雷薬をふるい分けて絶縁性容器に入れると,これに着火可能な放電が発生すると見込まれた.