著者
山隈 瑞樹 荒井 充 畑中 修二 細谷 文夫 飯田 光明 小勝 一弘
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.165-173, 2005-06-15 (Released:2016-12-30)
参考文献数
13

煙火薬製造における静電気危険性を把握するために,主要な工程を対象に帯電量の測定等を行った.その結果,ふるい分け作業において原料粉体が強く帯電することが判明した.硫黄の帯電量は際だって大きく,過塩素酸カリウムおよびアルミニウムはほぼ同等の帯電量であった.作業者が帯電防止をしていない場合には,2 kg のアルミニウム粉体のふるい分け作業によって最大15 kV に帯電した.小分け作業においては,アルミニウムをポリエチレン製スコップで取り扱った際に大きく帯電した.帯電した煙火粉体を絶縁性容器に入れた場合には,接地導体を接近させると粉体表面との間で着火性のある静電スパークが観測された.通常の作業条件においては,3 ~10 kg 程度の雷薬をふるい分けて絶縁性容器に入れると,これに着火可能な放電が発生すると見込まれた.
著者
桑原 正明 飯沼 一浩 大川 俊之 伊勢 秀雄 景山 鎮一 高山 和喜 OHKAWA Toshiyuki HOSOYA Fumio 細谷 文夫
出版者
東北大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1986

微小爆発を水中衝撃波のエネルギー源とした体外衝撃波結石破砕システム(mESWL)を開発し, 222名の上部尿路結石症患者(229治療症例)に試験治療を行い, 96%の症例に治療効果を認めた. 合併症としては発熱と結石排出に伴うせん痛が20%の内外の患者に見られた. この他には菌血症1例, 消化管出血1例, 腎被膜下血腫2例が見られた. 後者の4症例は, 1例の腎被膜下血腫の1例に経皮的なドレナージを施行した他は保存的に治療した. これらの合併症の発生頻度はこれまで実用化されている体外衝撃波結石破砕機におけるものとほぼ同様であった. 従って, mESWLはこれまでのESWL機と同様に臨床的な治療機として応用できることが示された.mESWLは現時点では一応, 完成されたシステムであると考えているが, 欠点がないわけではない. 例えば私たちはmESWLの治療方式として衝撃波のエネルギー効率を重視し, 患者を水槽内に入れて治療をおこなう方式(water-tub)を採用した. また, 私たちは爆薬の単純性とその強力さに注目して, 衝撃波発生のエネルギー源に専ら爆薬を用いてきた. しかし, 爆薬を使用する限り, 爆発に伴う騒音の発生や爆薬を取り扱うことの煩わしさが避けられない. 騒音についてはDornier機(HM-1)と同じレベルであることが確かめられ, この点についての問題は少ないが, 経済的な見地からみると爆薬そのもののコストも無視することはできない. こしたことから, 将来的にはtub-less方式の検討やピエゾ素子など他のエネルギーを用いることについても検討を進めたいと考えている.mESWLの総合評価は治療効果, 操作性, 経済性などを含めた他の体外衝撃波結石破砕機との比較を待たなければならないが, 国産の体外衝撃波結石破砕機を独自の方式で開発することができた意義は大きいとかんがえられる.