著者
斉藤 裕 三井 毅 牛島 聡 向井 恵一 笠原 善郎 吉田 政之 飯田 茂穂 大平 政人 三崎 拓郎 岩 喬
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.639-645, 1985-06-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
23

WPW症候群150症例に対し副伝導路切断術を行った.うち心房細動を合併した症例は68例(45%)あり,この90%に回帰性頻拍を認めた.心房細動合併症は非合併例より重篤な症状を呈し,1例に心室細動を認めたほか,3例が手術待機中自宅で突然死している.器質的心疾患合併例,および高齢発症または回帰性頻拍経験の長いものが心房細動を合併しやすかった.しかし電気生理学的見地から心房細動合併を予測する因子は明確ではなかった.また手術時期が遅い程,術後心房細動が多く残存した.回帰性頻拍治療のために植え込まれたペースメーカーが,心房細動を誘発した3症例も経験した.WPW症候群における心房細動発生には副伝導路が深く関与しており,一担発生した後は症状が増悪し,突然死することもある.今回の検討から心房細動合併症例では可及的早期に手術的根治をすべきである.
著者
三崎 拓郎 岩 喬 関 雅博 飯田 茂穂 向井 恵一 相沢 義房 小渡 輝雄 岩 亨
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.975-980, 1989

教室で外科治療を行った非虚血性心室性頻拍32例の内,3例は薬物療法に強く抵抗し遠隔地よりヘリコプターおよび航空機で搬送され緊急手術を行った.緊急手術の特殊性として,手術部位決定のための術前,術中の電気生理検査を十分行いえない点があげられた.すなわち術前電気生理検査の際に容易に心室細動となるため,心内膜カテーテルマッピングを行いえないこと,逆に術中心表面マッピングでは,術前長期あるいは蘇生に際して大量に使用された抗不整脈剤の影響のためもあって,患者の持っている全ての頻拍が誘発されるとは限らないことである.対策としてあらかじめ心電図所見などから予想される心内膜部位に予防的に広範な冷凍凝固を行うことが重要である.