著者
加藤 勲 岩 亨 鈴木 靖司 大野 真 坂中 清彦 辻 晶 伊藤 隆之
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement3, pp.59-64, 2007-08-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
14

当院内で意識消失に対して汎用型自動体外式除細動器(automated external defibrillator;AED)が使用された27例を検討し問題点を検証した.症例は,心停止を認めない意識消失が3例.心静止/無脈性電気活動が14例.心室頻拍(VT)/心室細動(VF)が10例であった.AEDがショックを放出したのはVF6例中5例.多形性VT1例中1例.単形性VT3例中0例で,単形性VTは全例心拍数250回/分未満であったためショックは放出されなかった(PHILIPS社の単形性VTでの作動条件は心拍数250/分以上).当院で使用経験のあるAEDモード付き除細動器は,通常のAEDよりも遅い単形性VTでも作動する(PHILIPS社の作動条件は心拍数150/分以上)ので,除細動器のAEDモードを使用した方が救命率は上がる可能性がある.またAEDの作動条件を満たさないVTでも手動モードであれば医師によりショックの放出は可能である.院外と院内の心停止では状況は若干異なるため,AEDの院内設置は理想的な機種選択が考慮されるべきと考える.
著者
三崎 拓郎 岩 喬 関 雅博 飯田 茂穂 向井 恵一 相沢 義房 小渡 輝雄 岩 亨
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.975-980, 1989

教室で外科治療を行った非虚血性心室性頻拍32例の内,3例は薬物療法に強く抵抗し遠隔地よりヘリコプターおよび航空機で搬送され緊急手術を行った.緊急手術の特殊性として,手術部位決定のための術前,術中の電気生理検査を十分行いえない点があげられた.すなわち術前電気生理検査の際に容易に心室細動となるため,心内膜カテーテルマッピングを行いえないこと,逆に術中心表面マッピングでは,術前長期あるいは蘇生に際して大量に使用された抗不整脈剤の影響のためもあって,患者の持っている全ての頻拍が誘発されるとは限らないことである.対策としてあらかじめ心電図所見などから予想される心内膜部位に予防的に広範な冷凍凝固を行うことが重要である.