著者
安村 幹央 飯田 辰美 後藤 全宏 岡田 将直 村瀬 勝俊 水谷 知央 二村 直樹 阪本 研一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.347-351, 2002-03-01
被引用文献数
7

症例は81歳の男性.発熱,腹痛を主訴に来院した.腹部CTで腹腔内のほぼ全域で腸管壁内と思われる嚢胞状ガスを認めた.また,腹腔内遊離ガス,右腎尾側に5×5cm大の充実性腫瘤像を認めた.結腸腫瘍による腸管閉塞,消化管穿孔性腹膜炎と診断し,緊急開腹術を施行した.上行結腸に腫瘍を認め,右半結腸切除を施行した.Treitz靭帯の肛門側120cmから回盲部の口側40cmまでの回腸,左側結腸の漿膜下および腫瘍近傍の腸間膜に嚢腫様気腫性変化を認めた.腫瘍は粘液癌で,se,ly3,v0,n0,ow(-),aw(-),ew(-),stage IIであった.腸間膜の嚢腫様気腫内にも癌細胞が認められた.大腸癌を合併した腸管嚢腫様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis:以下,PCIと略す)の報告は少ない.PCIの成因には大腸癌による腸閉塞状態が関与したと思われた.
著者
飯田 辰美 佐久間 正幸 芹沢 淳 福地 貴彦 雑賀 俊夫 松原 長樹
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7, pp.1924-1927, 1990-07-01
被引用文献数
12

症例は56歳男性.右下腹部痛,同部の腫瘤を主訴として来院された.右下腹部に硬い鶏卵大腫瘤が触れ,超音波検査,注腸造影,大腸ファイバースコープ,computed tomographyなどの検査により原発性虫垂癌が最も疑われた.開腹,切除標本所見より,この虫垂腫瘤は虫垂で穿孔した魚骨をとりまくように存在する炎症性肉芽腫であり,悪性像は認められなかった.このような腫瘤はきわめてまれで,検索しえた範囲では,本邦第1例目と考えられる.