著者
二村 直樹 松友 将純 安村 幹央 立山 健一郎 多羅 尾信 阪本 研一
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.73-77, 2004-01-31 (Released:2010-09-24)
参考文献数
29
被引用文献数
3

餅による食餌性イレウスの2例を経験したので報告する. 症例1: 66歳の女性. 主訴は腹痛, 嘔吐で, 腹部に腹膜刺激症状を認めた. 血圧は74/36mmHgと低下していた. CT検査で小腸の拡張と小腸内にhighdensity tumorを認めた. ショックを伴ったイレウスの診断で緊急手術を行った2. 回腸末端より口側30cmの回腸内に白色調の硬い異物を認め, 同部より口側の小腸が拡張していた. 腸切開を行い餅を摘出した. 症例2: 76歳の女性. 主訴は右季肋部痛で腸閉塞の診断で入院した. 入院日に腹部CT検査で胃内と小腸内にhigh density tumorを認め, 上部消化管内視鏡検査で胃内に餅を認めたため, 餅による食餌性イレウスと診断した. 入院翌日の腹部CT検査で胃内の餅は十二指腸へ移動し, 小腸の餅も移動がみられた. 保存的に治療を行い, 軽快した. 餅はCT検査でhigh density tumorとして腸管内に認められ, 餅による食餌性イレウスの診断に有用であると考えられた.
著者
荒川 信一郎 阪本 研一 上松 孝
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.983-987, 2016-07-31 (Released:2016-12-28)
参考文献数
21

症例は42歳の女性。統合失調症で他院通院加療中に突然の希死念慮のため文化包丁で自分の腹部を刺し受傷1時間45分後に救急搬送された。来院時包丁は腹部に刺さったまま固定された状態であった。造影CT検査で膵頭部,胃前庭部~十二指腸の損傷を疑い受傷4時間15分後に緊急開腹術を施行した。包丁先端は十二指腸球部を穿通し膵頭部上縁実質を約5mm幅で穿通し椎体腹側に達していた。助手が包丁を固定した状態で慎重に損傷部位の検索を行い主膵管・胆管・主要血管の損傷がないと判断した時点で包丁を抜去し,穿孔部を含む胃十二指腸切除+膵頭部縫合閉鎖を行った。術後経過は良好で術後17日目にかかりつけ精神科に転院となった。本邦の腹部外傷は鈍的外傷が多く刺創に遭遇する機会は少ない。自験例では成傷器が残存した状態にあり詳細な術前評価は困難であったが,注意深い手術操作のもと検索を行うことで良好な経過を得ることができた。
著者
二村 直樹 松友 将純 安村 幹央 立山 健一郎 多羅 尾信 阪本 研一
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.73-77, 2004

餅による食餌性イレウスの2例を経験したので報告する. 症例1: 66歳の女性. 主訴は腹痛, 嘔吐で, 腹部に腹膜刺激症状を認めた. 血圧は74/36mmHgと低下していた. CT検査で小腸の拡張と小腸内にhighdensity tumorを認めた. ショックを伴ったイレウスの診断で緊急手術を行った2. 回腸末端より口側30cmの回腸内に白色調の硬い異物を認め, 同部より口側の小腸が拡張していた. 腸切開を行い餅を摘出した. 症例2: 76歳の女性. 主訴は右季肋部痛で腸閉塞の診断で入院した. 入院日に腹部CT検査で胃内と小腸内にhigh density tumorを認め, 上部消化管内視鏡検査で胃内に餅を認めたため, 餅による食餌性イレウスと診断した. 入院翌日の腹部CT検査で胃内の餅は十二指腸へ移動し, 小腸の餅も移動がみられた. 保存的に治療を行い, 軽快した. 餅はCT検査でhigh density tumorとして腸管内に認められ, 餅による食餌性イレウスの診断に有用であると考えられた.
著者
安村 幹央 飯田 辰美 後藤 全宏 岡田 将直 村瀬 勝俊 水谷 知央 二村 直樹 阪本 研一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.347-351, 2002-03-01
被引用文献数
7

症例は81歳の男性.発熱,腹痛を主訴に来院した.腹部CTで腹腔内のほぼ全域で腸管壁内と思われる嚢胞状ガスを認めた.また,腹腔内遊離ガス,右腎尾側に5×5cm大の充実性腫瘤像を認めた.結腸腫瘍による腸管閉塞,消化管穿孔性腹膜炎と診断し,緊急開腹術を施行した.上行結腸に腫瘍を認め,右半結腸切除を施行した.Treitz靭帯の肛門側120cmから回盲部の口側40cmまでの回腸,左側結腸の漿膜下および腫瘍近傍の腸間膜に嚢腫様気腫性変化を認めた.腫瘍は粘液癌で,se,ly3,v0,n0,ow(-),aw(-),ew(-),stage IIであった.腸間膜の嚢腫様気腫内にも癌細胞が認められた.大腸癌を合併した腸管嚢腫様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis:以下,PCIと略す)の報告は少ない.PCIの成因には大腸癌による腸閉塞状態が関与したと思われた.