著者
山本 宜孝 富田 重之 永峯 洋 山口 聖次郎 東谷 浩一 飯野 賢治 渡邊 剛
出版者
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.230-233, 2008-07-15
被引用文献数
2

症例は66歳,女性.9年前抗リン脂質抗体症候群,特発性血小板減少性紫斑病を指摘され,以後血液内科で通院治療を継続していた.今回心不全症状が出現,精査の結果III/IV度の大動脈弁閉鎖不全症と診断された.血液内科医師と連携をとり十分な準備と計画をたて心臓外科手術:大動脈弁置換術を施行した.術前には血漿交換とステロイドパルス療法を施行,また腎機能障害の増悪に対し透析をおこなった.術後は早期より抗凝固療法とステロイドの内服を行い,抗リン脂質抗体症候群の増悪を認めることが無く順調に経過した.
著者
田村 昌也 村田 智美 飯野 賢治 太田 安彦
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.631-634, 2003-09-15
被引用文献数
2 1

当科で経験した特発性血気胸治療例14例について検討した.平均年齢は31.2歳(21〜63歳)で,女性は1例のみであった.気胸初発例,III度の高度虚脱例が多くを占めた.出血源は10例が肺尖部の癒着断裂による出血であり,2例は肺嚢胞表面の血管からの出血であった.発症からそれぞれ5日,6日が経過していた症例にVATSを試みたが,血腫の排出と視野の確保に難渋したため,開胸術に移行した.また発症から15日経過していた症例に対してVATSを完遂したが,術後,気漏遷延により,再手術となった.気漏遷延例を除く平均術後ドレーン留置期間,平均術後入院期間,術後鎮痛剤の使用日数の上で,VATSは開胸術に優っていた.出血量,空気漏の持続,肺再膨張の程度などを総合的に判断し,迅速に手術適応を決定する必要がある.また発症早期であれば,胸腔鏡下手術は第一選択として施行されるべきであると考える.