著者
瀬戸 憲彦 橋本 信一 飯高 隆
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3-4, pp.195-208, 1994-03-30

南西諸島は,琉球海溝にほぼ並行に位置する弧状列島である。近年,南西諸島の西端に位置する西表島において群発地震活動がみられ,1992年9月17日からは西表島北西沖において活発な群発地震活動が発生した.そのため,1992年10月29日から同年11月7日にかけて,無線テレメータによる地震活動の監視と無線によるテレコントロールシステム(テレコンシステム)を用いた高密度観測をおこなった.その結果,観測期間中に1060個の地震が観測され,活発な活動状況を示した.震源分布においては,今回の活動はいくつかの群(クラスター)からなり,全体の傾向として北西-南東方向に分布していることがわかった.震源の深さは,おもに8kmから12kmであり,上部地殻の深部での活動であることがわかった.また,いくつかのテレメータの観測点で後続波が観測され,走時解析から,地殻内部に速度不連続面が存在することが示された.その地殻内速度不連続面は島の北西部から沖合いにかけて位置し,深さ13km程度に求まった.その地域の震源分布の鉛直断面図を見ると,深いところから浅いところに向かって鉛直方向にならぶ明瞭なトレンドが見られた.また,テレコンシステムを用いた解析では,初動の押し引きの重ね合わせによって,震央分布の北西-南東方向に走行を持つ正断層のメカニズム解か推定された.
著者
飯高 隆 中村 功 溝上 恵
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.37-50, 1989-06-30

関東地方においては,これまでに地震波速度構造の不均質性について様々な研究がなされてきた.これらの研究の結果,太平洋プレート,フィリピン海プレートの沈み込みが示された.このように複雑な構造をした地域において,沈み込むプレートの形状を求めることは,大変重要なことである.東京大学地震研究所の日立(HIT)の観測点の地震波記録で,P波とS波の間に立ち上がりのはっきりした後続波が見られた.この研究では,この後続波が,沈み込む太平洋プレート上面でPS変換された波であることを明らかにし,この変換波を用いて沈み込む太平洋プレート上面の深さを求めた.このように変換波を用いる方法は,プレート上面の深さを求めるのに有効であることが知られている.この研究において,関東地方下で求められた太平洋プレート上面は,日立の観測点下で約60kmの深さに求まり,その面は2重深発面の上面にほぼ一致した.また,この深さはS波の反射から求められた結果(小原,1987)と矛盾しない.
著者
瀬戸 憲彦 橋本 信一 飯高 隆
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3/4, pp.195-208, 1994-03-30

南西諸島は,琉球海溝にほぼ並行に位置する弧状列島である。近年,南西諸島の西端に位置する西表島において群発地震活動がみられ,1992年9月17日からは西表島北西沖において活発な群発地震活動が発生した.そのため,1992年10月29日から同年11月7日にかけて,無線テレメータによる地震活動の監視と無線によるテレコントロールシステム(テレコンシステム)を用いた高密度観測をおこなった.その結果,観測期間中に1060個の地震が観測され,活発な活動状況を示した.震源分布においては,今回の活動はいくつかの群(クラスター)からなり,全体の傾向として北西-南東方向に分布していることがわかった.震源の深さは,おもに8kmから12kmであり,上部地殻の深部での活動であることがわかった.また,いくつかのテレメータの観測点で後続波が観測され,走時解析から,地殻内部に速度不連続面が存在することが示された.その地殻内速度不連続面は島の北西部から沖合いにかけて位置し,深さ13km程度に求まった.その地域の震源分布の鉛直断面図を見ると,深いところから浅いところに向かって鉛直方向にならぶ明瞭なトレンドが見られた.また,テレコンシステムを用いた解析では,初動の押し引きの重ね合わせによって,震央分布の北西-南東方向に走行を持つ正断層のメカニズム解か推定された.
著者
飯高 隆 中村 功 溝上 恵
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.37-50, 1989-06-30

関東地方においては,これまでに地震波速度構造の不均質性について様々な研究がなされてきた.これらの研究の結果,太平洋プレート,フィリピン海プレートの沈み込みが示された.このように複雑な構造をした地域において,沈み込むプレートの形状を求めることは,大変重要なことである.東京大学地震研究所の日立(HIT)の観測点の地震波記録で,P波とS波の間に立ち上がりのはっきりした後続波が見られた.この研究では,この後続波が,沈み込む太平洋プレート上面でPS変換された波であることを明らかにし,この変換波を用いて沈み込む太平洋プレート上面の深さを求めた.このように変換波を用いる方法は,プレート上面の深さを求めるのに有効であることが知られている.この研究において,関東地方下で求められた太平洋プレート上面は,日立の観測点下で約60kmの深さに求まり,その面は2重深発面の上面にほぼ一致した.また,この深さはS波の反射から求められた結果(小原,1987)と矛盾しない.