著者
田中 幸子 香取 洋子 酒井 一博 追木 さやか
出版者
山形大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

看護系大学教員が健康な状態で就労を継続し, キャリア形成を可能にする働き方を検討する目的で, 看護系大学教員の就労状況を職業性ストレスに注目して分析した。質問紙調査票配布の協力が得られた看護系大学99 校の教員1653 名に自記式質問紙調査を実施した。664 名から回収, 女性543 名を分析対象とした。職業性ストレスを従属変数にKruskal Wallis 検定を行った結果, 助手と助教は教授より, 博士課程在学中の者は大学院に在学していない者より, 職場の対人関係でのストレス得点が有意に高かった。助手や助教のストレスに配慮して職場における良好な職場の人間関係を構築していくこと, 進学している教員に対して支援策を検討することの重要性が示唆された。
著者
香取 洋子
出版者
北里大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

調査予定施設の産科閉鎖のため、施設・実施方法を修正・変更し、前年度生理学的に検討を行ったインファントマッサージを、早産・低出生体重児を出産した育児不安の高いハイリスク母子に対して実施し検討を行った。母親は里帰り出産で実家に帰省し、早産で児を出産した。初回介入時、修正月齢1ヶ月であったが、児があまり眠らないこと、他の子どもと比べて小さいこと、出生時に医師から児の脳への影響の可能性について話がされたこと等、児の成長発達に強い不安を抱いていた。また、出産後外出することがなく、-日中パジャマで過ごしていた。児の発達・発育は修正月例相当であったが、母親は児が長く寝ないことに対し非常に神経質になっていた。全5回の介入のなかで、この時期の子どもの睡眠-覚醒リズムについて伝え、マッサージを通じて子どもの反応に気づくことを中心に介入を進めていった。2回目には、実母からは肉親以外に不安に思っていることを話せたことで、ノイローゼ気味だった娘(母親)が非常に落ち着いたとの感想があった。マッサージ中の母親の様子は、児が泣きに過剰に反応し、なだめも単調な介入方法で効果的ではなかったが、次第に落ち着いて対処できるようになった。また、マッサージを通して母親が児のコミュニケーション能力を確認することができた。子どもなりのペースで成長も認められるようになり、6ヵ月後、母親は一人で育児をする決心をし、自宅へ戻った。以上のことから、早産・低出生体重児をもち、育児不安の高いハイリスク母子に対して、マッサージの指導を介した、子どもとのスキンシップを促す機会とスキルを提供することおよび、継続的な個別訪問による母親への精神的支援が有効である可能性が示唆された。