著者
馬場 恒子 マクヒュー 芙美
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究会
雑誌
Journal of the Faculty of Human Sciences, Kobe Shoin Women's University = 神戸松蔭女子学院大学研究紀要. 人間科学部篇 : JOHS (ISSN:21863849)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-17, 2012-03

「化学物質」に対する消費者のイメージは、人工的なもの、有害(有毒)なものであって、自然界に存在しないものであることが明らかになった。消費者は主にマスメディアを通して化学物質に関する情報を受け取っているという結果が得られた。マスメディアが化学物質を大きく取り上げる時は、事件や事故の原因物質として特定された場合である。消費者は「生態系のすべての物は化学物質で構成されている」という認識がないので、マスメディアからの危険情報だけをそのまま蓄積していると考えられる。しかし、どの年代の人々でも化学に関する基礎的な話を聞くことによって化学物質の認識が変わり得ることも明らかになった。
著者
馬場 恒子 野阪 美貴子 西内 由紀子
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
神戸松蔭女子学院大学研究紀要. 人間科学部篇 = Journal of the Faculty of Human Sciences, Kobe Shoin Women's University : JOHS (ISSN:21863849)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-9,

トランス脂肪酸の多量摂取は健康に悪影響を与えることから、平均摂取量を一日当りの総エネルギー摂取量の1% 未満とする目標が設定された。日本では菓子類を多く食べる若年女性の摂取量が多く、菓子類の中でも特にパイ中のトランス脂肪酸含有量が高いことが2007年に報告された。日本において規制は行われていないが、これらの食品からトランス脂肪酸を低減する取り組みが各企業で自主的に進められている。そこで今回実際に含有量が減少しているかどうか検証する目的で、2011 年5 ~ 7 月に購入した14 種類の市販パイと、2種のカップ麺のトランス脂肪酸と飽和脂肪酸含有量を測定した。その結果、5 種類(36%)がトランス脂肪酸高含有食品(1.5-9 g/100 g 総脂質)で、トランス脂肪酸高含有食品の数は2007 年の80%に比べ著しく減った。高含有パイのうち1 種は、1 個中に1.8 g 含んでいた。これを1 個食べると、10 歳未満の子供では推定エネルギー必要量の1%を超え、身体活動レベルの低い若年女性では1%に相当する。また、カップ麺の天ぷらと麺はパーム油同様の飽和脂肪酸の多い組成となっていた。これは、トランス脂肪酸の代替品としてパーム油の使用が進み、飽和脂肪酸の摂取量が増加する可能性を示している。含有量表示の義務化と、種々の脂肪酸を含んだバランスの良い食事をとるように啓蒙することが、国民の健康維持につながると思われる。