著者
三浦 則明 桑村 進 一本 潔 馬場 直志 花岡 庸一郎 高見 英樹
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

補償光学(AO)は、地球大気ゆらぎの影響による観測像の劣化を実時間で補正する技術である。本研究では、京都大学飛騨天文台の 60cmドームレス太陽望遠鏡で多目的に使用できる AOの設計を行った。また、補償が有効に働く視野を広げるためのマルチコンジュゲート補償光学系(MCAO)の開発も進めた。MCAOの光学設計には上空ゆらぎ層の高さの情報が必要である。ここでは、従来夜の観測で二重星を用いて開発されてきた SCIDAR技術を太陽観測にも適用できるように修正した。この方法を用いて、飛騨天文台の上空ゆらぎ層の高さを測定した。さらに、上空波面センサの開発し、MCAO装置を太陽観測に適用した。
著者
馬場 直志 石垣 剛 田村 元秀 三浦 則明
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、我々が提案した偏光差分型ステラコロナグラフによる、太陽系外惑星の直接検出装置の開発実験を行った。恒星からの光は、一般にランダム偏光(無偏光)と考えられる。一方、惑星からの光は、恒星光の反射・散乱光となるため部分偏光した光となる。直行する2つの偏光成分で観測し、その差を取ると無偏光成分は相殺され、部分偏光している成分が残留する。これが偏光差分法であり、部分偏光している太陽系外惑星光を抽出できる。しかし、単なる偏光差分では、大きな強度を持った恒星光の2つの直行偏光成分間にわずかな差がある場合、その差は微弱な太陽系外惑星の偏光差分よりも大きくなってしまう。このために、効率的に太陽系外惑星光を抽出できなくなってしまう。我々は、単なる偏光差分ではなく、偏光度から太陽系外惑星光を識別することを行った。偏光度は、偏光差分値をその点の全強度で割ったものであり、無偏光の光は強度が強くとも偏光度は零に近づく。一方、部分偏光している光は、その偏光度に応じた値となる。我々は、太陽系外惑星像を検出するシミュレーション実験を行った。この実験において、太陽系外惑星モデル光の偏光度を50%、惑星と恒星との角距離を4.8λ/D(λは中心波長、Dは望遠鏡の口径)、強度比を1.1×10^<-5>とした。単なる偏光差分の像では、惑星像は明瞭ではなかったが、偏光度で表示した像ではスペックル雑音との相違が明らかとなった。本研究では、偏光差分法に基づいて、イメージングのみならず、太陽系外惑星の対物分光を目指した実験も行った。偏光度解析により、惑星モデル光のスペクトルを恒星モデル雑音光スペクトルから分離抽出できた。