- 著者
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馬渡 静夫
- 出版者
- 日本動物分類学会
- 雑誌
- 動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, pp.41-44a, 1973 (Released:2018-03-30)
- 被引用文献数
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1
1972年10月4日富士五湖の一つである河口湖にPectinatella magnifica(LEIDY)の多数の寒天質群体が浮游し,汀にうち上げられていることを確認した。地元では9月初め頃より多数浮き出して「淡水水母」と誤認されていたものである。本種は日本産のカンテンコケムシPectinatella gelatinosa OKAに群体などは似ているが,その体芽の周辺に碇型の棘を10数本有することで容易に区別される。もともとアメリカ東部の特産として知られ,1900年初順に中部ヨーロッパに運ばれた歴史があるが,今回の日本での出現も,近年の日米間の交流の急増と関係が深いものと思われる。この記録は東洋地区では初めてのものであり,アメリカでの発見から約120年後の出来事である。(第9回動物分類学会大会にて講演)