著者
欅田 榮一 金 鍾和 駒沢 勲
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.1045-1052, 1990-09-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
18
被引用文献数
4 5

温泉水や石炭フライアッシュ浸出液には希薄な濃度のリチウムとともに大量のアルカリ金属, アルカリ土類金属およびその他の金属イオンが含まれている.本研究では, これらからリチウムを効率的に分離・濃縮・精製するプロセスについて研究した.まず, イオンシーブタイプの無機イオン交換樹脂, λ-MnO2を用いた.これは粒子内部にリチウムイオンのみを, 粒子表面にはほとんどの金属を吸着することによって分離する.次にリチウムを選択的に溶離するため, 2種類の溶離液, NH4NO3 と HNO3, による新しい段階的溶離法を試みた.この結果, 供給液のLi/Naのモル比は1/70~120であったが, 溶離液では300/1にすることができた.溶離液中に微量で含まれている不純物の除去は, β-diketone (LIX51) と TOPO の混合抽出剤を用いた液-液抽出法によった.洗浄操作と逆抽出操作に用いる希塩酸濃度の適切な選択によって不純物が検出できない高純度のリチウムが回収された.
著者
駒沢 勲 黒見 眞 東稔 節治
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.223-229, 1987-03-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
8
被引用文献数
3 4

ロイコマイシンA5, ノルエフェドリンおよびフェネチルアミンのような弱塩基性の生理活性物質の水溶液pH調整による物理抽出および逆抽出を行った.有機溶媒として酢酸ブチルおよびクロロホルムを用いた.各抽質の分配データから酸解離定数および分配係数を求めた.各抽質のカチオンと有機リン酸抽出試薬HDEHPとの錯体形成による化学抽出も行った。抽出試薬の保持率全域に適用できる抽出平衡式を求めた.いずれの抽質に対しても抽出種はHAX・2(HX), HAX・(HX) およびHAXの3種類で統一的に表現できる.ここでHXおよびAはHDEHPモノマーと塩基性物質を表す.ノルエフェドリンとフェネチルアミンの抽出特性は化学抽出の導入によって大きく向上する.しかし, ロイコマイシンは逆抽出をロイコマイシンカチオンが不安定となるpH域で実施するため有利ではない.