著者
山内 邦男 清水 誠 高宮 幸江 川上 浩 GANGULI N. C.
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.329-335, 1983

2種のインド水牛,Murrah種とSurti種,より得た乳からカゼインと乳清蛋白質を単離し,その性質を調べた.全カゼインの電気泳動パターンとアミノ酸組成は2種の水牛乳でほとんど同じであった.Murrah種の水牛乳からα<sub>s1</sub>-, α<sub>s2</sub>-, β-,およびκ-力ぜインをAmberliteCG-50およびDEAE-Sephadexクロマトグラフィーによって単離,精製した.各カゼイヤのアミノ酸組成は,イタリア水牛のカゼインについて報告されている値と一致していた.スラブ電気泳動で水牛乳α<sub>s1</sub>-カぜインは複数のバンドを示した.ホスファターゼ処理によってバンドは1本になることから,この不均一性はりん酸化の違いによるものと考えられた.α<sub>s1</sub>-, α<sub>s2</sub>-, β-およびκ-カゼインの量比は40:9:35:12であり,α<sub>s2</sub>-カゼインの比率が低い点でイタリア水牛(α<sub>s1</sub>-とα<sub>s2</sub>-カゼインがそれぞれ30および18%)と異なっていた,Murrah種とSurti種の全乳清蛋白質をスラブゲル電気泳動,SDSゲル電気泳動によって比較した結果,両者はほぼ同様のパターンを示した.また,抗-ウシ乳清蛋白質血清を用いた免疫電気泳動の結果,水牛乳の主要乳清蛋白質は牛乳のそれと免疫化学的に類似していることが示された.