7 0 0 0 OA 不便益と共創

著者
川上 浩司
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.1079-1081, 2012-11-10 (Released:2020-04-23)
参考文献数
9
著者
浅川 和秀 半田 宏 川上 浩一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.158, no.1, pp.16-20, 2023 (Released:2023-01-01)
参考文献数
11

TAR DNA-binding protein 43(TDP-43)は,進化的に保存されたRNA/DNA結合タンパク質である.TDP-43は,健康な細胞では細胞核に豊富に含まれるが,筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患においては,変性した神経細胞の細胞質に凝集体として蓄積することが知られている.我々は,青い光を吸収すると自己会合する活性をもったCRY2タンパク質をタグとして用い,光照射によって多量体化(オリゴマー化)するTDP-43のバリアント(opTDP-43h)を構築した.組織の光透過性が高い熱帯魚ゼブラフィッシュの仔魚の運動ニューロンにopTDP-43hを発現させて青色光を照射すると,細胞核に局在していたopTDP-43hは,徐々に細胞全体に拡がり,やがては細胞質に凝集体を形成した.興味深いことに,短時間の光刺激によって一過的にopTDP-43hを細胞質に移行させると,opTDP-43hの凝集体が蓄積していない状態でも,運動ニューロンの軸索成長が阻害されることが明らかになった.これらの結果は,オリゴマー化したTDP-43が,凝集体として細胞質に蓄積する前の段階で細胞毒性を発揮していることを示唆している.本総説では,この光遺伝学型TDP-43を用いたゼブラフィッシュALSモデルを概説し,ALSにおける運動ニューロン変性においてTDP-43が発揮する細胞毒性のメカニズムについて議論したい.
著者
山本 祐輔 山本 岳洋 大島 裕明 川上 浩司
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.24-37, 2019-01-16

本稿では,ウェブ検索エンジンなどの情報アクセスシステムを用いて情報を精査し,正確なウェブ情報を収集する能力「ウェブアクセスリテラシー」を測定する尺度と質問紙を提案する.提案したリテラシー尺度の信頼性,妥当性の評価を行うために,クラウドソーシングサービスを用いて534名のウェブユーザにオンライン調査を行った.因子分析の結果,ウェブアクセスリテラシー尺度は7因子構造であった.また,ウェブアクセスリテラシー尺度の総合得点は,当該尺度と関連すると考えられる健康リテラシー尺度得点と弱い正の相関(r=0.32,p<.001)を,ウェブ情報に対する信用度と弱い負の相関(r=-0.20,p<.001)を示した.さらに,情報リテラシー関係の講義の受講経験別にウェブアクセスリテラシー尺度得点を確認したところ,統計的有意差が確認された(F(1, 525) = 8.82,p<.01).信頼性を示すクロンバックのα係数については,6つの因子は0.8以上,1因子については0.76であった.
著者
川上 浩 朴 眩泰 朴 晟鎭 青栁 幸利
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.145-153, 2014 (Released:2014-12-21)
参考文献数
29
被引用文献数
1

牛乳・乳製品の摂取が高齢者の健康に及ぼす影響については,これまで骨粗鬆症や高血圧等の生活習慣病の予防の観点から多くの研究がなされてきた。また,サルコペニア予防を目的としたレジスタンス運動時の筋肉の維持向上において,乳清タンパク質等の摂取が有用であることも報告されている。しかしながら,通常の日常生活における身体活動と,牛乳・乳製品の摂取との関係を中心に解析した研究報告はほとんどみられない。そこで本研究では,健康な高齢者における牛乳の摂取と,日常生活での身体活動量,歩行速度,および体組成等との関連について調べ,牛乳摂取の有用性を明らかにすることを目的とした。 認知症や寝たきり等の症状を有さない65歳以上の高齢者179名(男性88名,女性91名)を対象に,食物摂取頻度調査票を用いて栄養状態および牛乳摂取量を把握した。身体活動については,一軸加速度センサー内蔵の身体活動量計を用いて,歩数,身体活動強度,および身体活動時間を毎日24時間計測した。歩行速度(平均値・最大値)は,全長11 m の水平歩行路上の移動時間から算出した。筋量,脂肪量,および水分量等は,マルチ周波数体組成計で全身および部位別に測定した。骨強度は,超音波骨評価装置で右踵骨を測定した変数から,音響的骨評価値を算出した。全対象者を低牛乳摂取グループ(200 mL 未満/日)85名,および高牛乳摂取グループ(200 mL 以上/日)94名に分けた。日常生活における身体活動量,歩行速度,筋量,骨強度,および血清アルブミン濃度に統計学的な有意差(p<0.05)がみられ,高牛乳摂取グループで高値を示した。特に,筋量は男性において,骨強度は女性において牛乳摂取量との相関が高かった。また,牛乳摂取量と身体活動の相乗効果を判定するために,多要因ロジスティック回帰分析でサルコペニア発症相対危険度のオッズ比を算出したところ,「低牛乳摂取+低身体活動」グループは,他の 3 グループ(「高牛乳摂取+高身体活動」「高牛乳摂取+低身体活動」「低牛乳摂取+高身体活動」)に比べ,危険度が有意に高かった。以上の結果から,高齢者における牛乳の摂取は,身体活動や体組成の向上に有用である可能性が示唆された。
著者
川上 浩司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第26回 (2012)
巻号頁・発行日
pp.2P1OS9b7, 2012 (Released:2018-07-30)

ユーザの能動性や気付きを誘発するなど、不便には益がある。キーボードの刻印を無くして敢えて視覚フィードバックを無くす不便は、知覚─行動サイクルからカップリングへと誘う。不便の益を新たなシステムに実装するアイデアの多くは、ユーザに発見や工夫を許し、自己肯定感を醸成させる仕掛けである。この「許す」から「誘う」に転じる仕掛けはないか、不便益研究の側からは、仕掛学に期待するところ、大である。
著者
川上 浩司
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.69-78, 2021-06-30 (Released:2021-07-02)

The health, clinic, and education information evaluation institute (HCEI) develop databases derived from nerborn to school age health check-ups under the contract with local governments in Japan, and epidemiological analyses are provided to both individuals and local governments. The anonymized database is maintained for the secondary epidemiology research by researchers. On the other hand, HCEI aldo develops anonymized clinical database (RWD-DB) derived from electric medical record of hosipitals in Japan. Eplidemiological analyses utilizing RWD-DB is provided to hosipitals for the purpose of improvement of clinical outcomes and safety. These initiatives are important not only for the research basis but also for the health policy and helath-related industry.
著者
川上 浩司
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.125-134, 2009-02-25 (Released:2019-09-04)
参考文献数
32
被引用文献数
13

This paper presents a viewpoint of "benefit of inconvenience" based on the symbiotic thought and discusses several issues in the research field of systems design. Convenience generally implies "saving labor. " Designers aim to develop goods for sparing humans labor based on the assumption that "the more convenient life is, the richer it is." This assumption has yielded technical developments and outcomes that we generally appreciate. On the other hand, technologies have brought about several problems. One of the way to overcome such problems is pursuing further developments and convenience. But in the case where such developments yield further problems, symbiotic thought doubts of the final destination of this way. An alternative way is to get back to the basic focus on the problems. Benefits of inconveniences navigate us to the promising ways. Inconvenience enhances awareness, prompts creative contribution, and brews affirmative feeling.
著者
中埜 拓 村上 雄二 佐藤 則文 川上 浩 井戸田 正 中島 一郎
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.37-42, 1995-02-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
22

カゼイン組成がカード形成状態や消化性に及ぼす影響を調べた。ウシα-カゼインに酸を添加すると粗大なカードが形成されたが, ウシβ-カゼインならびに人乳カゼインではカードが微細であった。乳児の消化管内を想定したpH 4.0のペプシン分解およびそれに引き続くパンクレアチン分解を行うと, ウシβ-カゼインがウシα-カゼインに比べ速やかに消化された。ラットによる消化試験では, ウシβ-カゼインがウシ全カゼインに比べ分解されやすく, 胃内滞留時間が短かった。以上のことから, カードはβ-カゼインのように微細であるほど, 消化されやすいこと, また胃から速やかに小腸に移行することが示唆された。
著者
川上 浩司
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

ユーザの能動性や気付きを誘発するなど、不便には益がある。キーボードの刻印を無くして敢えて視覚フィードバックを無くす不便は、知覚─行動サイクルからカップリングへと誘う。不便の益を新たなシステムに実装するアイデアの多くは、ユーザに発見や工夫を許し、自己肯定感を醸成させる仕掛けである。この「許す」から「誘う」に転じる仕掛けはないか、不便益研究の側からは、仕掛学に期待するところ、大である。
著者
山内 邦男 清水 誠 高宮 幸江 川上 浩 GANGULI N. C.
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.329-335, 1983

2種のインド水牛,Murrah種とSurti種,より得た乳からカゼインと乳清蛋白質を単離し,その性質を調べた.全カゼインの電気泳動パターンとアミノ酸組成は2種の水牛乳でほとんど同じであった.Murrah種の水牛乳からα<sub>s1</sub>-, α<sub>s2</sub>-, β-,およびκ-力ぜインをAmberliteCG-50およびDEAE-Sephadexクロマトグラフィーによって単離,精製した.各カゼイヤのアミノ酸組成は,イタリア水牛のカゼインについて報告されている値と一致していた.スラブ電気泳動で水牛乳α<sub>s1</sub>-カぜインは複数のバンドを示した.ホスファターゼ処理によってバンドは1本になることから,この不均一性はりん酸化の違いによるものと考えられた.α<sub>s1</sub>-, α<sub>s2</sub>-, β-およびκ-カゼインの量比は40:9:35:12であり,α<sub>s2</sub>-カゼインの比率が低い点でイタリア水牛(α<sub>s1</sub>-とα<sub>s2</sub>-カゼインがそれぞれ30および18%)と異なっていた,Murrah種とSurti種の全乳清蛋白質をスラブゲル電気泳動,SDSゲル電気泳動によって比較した結果,両者はほぼ同様のパターンを示した.また,抗-ウシ乳清蛋白質血清を用いた免疫電気泳動の結果,水牛乳の主要乳清蛋白質は牛乳のそれと免疫化学的に類似していることが示された.
著者
嶋本 正範 谷口 忠大 大矢 智子 塩瀬 隆之 川上 浩司 片井 修
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.661-661, 2007

社会的生活の本質が他者との相互作用であると考えに基づき,ゲーム理論は社会的構造や社会的変化の研究に微視的な基盤を与えるものとして盛んに研究が行われた.しかし,実際に人間がゲームにおいてどのように振舞うかという研究分野である実験ゲームでは,ゲーム理論で仮定されているような合理的な行動を人間はとらないことが知られている.近年,このような人間の非合理的な行動などが行動経済学などの分野によって注目されるようになってきた. 本研究では,意思決定という行動のインタラクションだけでなく,ゲーム理論では取り扱われなかったコミュニケーションに着目し,ネットワークの構造によっておこる,局所的なコミュニケーションが人間の意思決定にどのような影響を与えるかを,ネットワーク構造の形態によって分析する.
著者
野崎 敬太 平岡 敏洋 高田 翔太 川上 浩司
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

交通事故低減策の一つとして,運転者自らが安全運転に対する動機づけを高める仕掛けやシステムの導入がある.先行研究では客観的な安全運転評価結果を運転者に提示するシステムを提案したが,情報提示法の検討は不十分であった.そこで本研究では,ゲーミフィケーションの知見を参考に,運転者が楽しみながら安全運転できる仕掛けを導入する.また,運転履歴に基づく目標提示により,安全運転に対する更なる意識向上を促す.
著者
中 右介 牧野 好和 進藤 重美 川上 浩樹 原田 賢哉 Naka Yusuke Makino Yoshikazu Shindo Shigemi Kawakami Hiroki Harada Kenya
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発資料 = JAXA Research and Development Memorandum (ISSN:13491121)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RM-11-004, pp.1-48, 2011-10-31

低ソニックブーム設計概念の実証と空中ソニックブーム計測技術の獲得を目的とする低ソニックブーム設計概念実証(D-SEND)プロジェクトにおいて,JAXA が開発した空中ソニックブーム計測システム(ABBA システム)を含むソニックブーム計測システム(BMS)の確認,及びD-SEND#2 飛行試験におけるダイブ飛行による低ブーム設計概念実証の可能性確認のため,実機を用いた飛行試験(通称ABBA Test #2)を実施した.係留気球の破損によりABBAシステムによる空中計測はできなかったが,地上ソニックブーム計測を通してダイブ飛行による低ブーム設計概念実証の可能性を確認するとともに,地上において正確にソニックブーム波形を計測する手法を確立した.また,ダイブ飛行特有の現象であるソニックブームのフォーカシング現象が観測され,フォーカスブーム推算技術の検証データが得られた.
著者
川上 浩樹 進藤 重美 中 右介 Kawakami Hiroki Shindo Shigemi Naka Yusuke
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発資料 = JAXA Research and Development Memorandum (ISSN:13491121)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RM-12-005, pp.1-39, 2013-03-29

低ソニックブーム設計技術の実証データ取得と空中ソニックブーム計測技術の確認を目的とする低ソニックブーム設計概念実証(D-SEND)プロジェクトにおける落下試験時の供試体から発生するソニックブームを計測するブーム計測システム(Boom Measurement System: BMS)を開発した.これによりD-SEND#1 落下試験では,ソニックブームを空中及び地上で計測できた.ここでは,ブーム計測システムの開発結果とD-SEND#1 落下試験における運用について報告する.
著者
中 右介 牧野 好和 進藤 重美 川上 浩樹 Naka Yusuke Makino Yoshikazu Shindo Shigemi Kawakami Hiroki
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発資料 = JAXA Research and Development Memorandum (ISSN:13491121)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RM-12-004, pp.1-74, 2013-01-31

低ソニックブーム設計技術の実証と空中ソニックブーム計測技術の獲得を目的とする低ソニックブーム設計概念実証(D-SEND)プロジェクトにおいて,JAXA が開発した空中ソニックブーム計測システム(ABBA システム)を含むソニックブーム計測システム(BMS)の確認,及びD-SEND#2 飛行試験におけるダイブ飛行による低ブーム設計概念実証の可能性確認のため,実機を用いた飛行試験(通称ABBA Test #2)を実施した.前回(2010年9月)に実施した飛行試験では,係留気球の破損によりABBA システムによる空中計測ができなかったため,今回再試験を実施し,空中ソニックブーム計測によるダイブ飛行での低ブーム設計概念実証の可能性を確認した.また,今回は地上50mから1000m の間の6箇所の異なる高度に設置したマイクロフォンでの計測により,ソニックブームの伝播,ソニックブーム波形に与える大気乱流や地面反射の影響を検討する上で貴重なソニックブームデータが取得できた.