著者
細田 捺希 高山 裕貴 赤田 樹 青井 雄幹 原 信岳 吉村 美紀
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.386-394, 2019-12-05 (Released:2019-12-20)
参考文献数
22

貯蔵期間の異なる手延べそうめんの性状と構造に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。貯蔵期間0ヶ月,6ヶ月,12ヶ月,24ヶ月の試料を用いた。放射光X線マイクロCT観察の結果から,貯蔵期間の長い12ヶ月,24ヶ月貯蔵試料は,乾麺内部に大きな隙間構造と乾麺表面には線吸収係数の大きな構造物が多く観察された。示差走査熱量測定において,貯蔵期間が長くなると,第1吸熱ピーク及び第2吸熱ピークのピークが低温側と高温側に移動し,乾麺試料1 mgあたりのエンタルピーは増加する傾向がみられた。これにより小麦でんぷんの結晶性が増加し,でんぷんの糊化及びたんぱく質の変性が抑制されると推察した。
著者
中迫 雅由 苙口 友隆 高山 裕貴 中島 真 夕花 松井
出版者
分子シミュレーション研究会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.7-18, 2013-01-31 (Released:2014-01-31)
参考文献数
51

生命現象の素過程を担う蛋白質には,その周囲や内部での水分子の存在が立体構造の形成や生物学的機能発現に不可欠であるとされている.物理化学的視点から,ナノメートルスケールでの蛋白質-水界面構造,所謂,水和構造を探る研究が行われてきた.これまでに,低温X線結晶構造解析等をはじめとする実験的研究によって,蛋白質水和構造の静的特徴付けなど,実証科学として蛋白質水和の構造基盤に関する理解が進んだ.さらに近年は,蛋白質の内部運動と水和構造変化がどのように協奏・連動しているかという問題にアプローチする実験研究が始まっている.本稿では,蛋白質内部や表面上での水和水分子の位置を,実験事実として具体的に提供できるX線結晶構造解析や分子動力学-X線小角散乱併用法による蛋白質水和構造研究などを振り返りながら,今後の蛋白質水和の実験的研究に関する展望を纏めた.