著者
植田 恵 高山 豊
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.330-338, 2013

原発性進行性失語(primary progressive aphasia;PPA)の評価は,既存の言語機能検査を使用して行われているが,その適切な組合せ・実施手順の明確化,あるいは新たな評価法の開発が望まれる。近年,新たな PPA の国際臨床診断基準とともにタイプ診断のための発話/言語機能の課題が示された。そこで,我々はこの課題と本邦で使用されている検査との対応について,また過去の自験例に実施した検査について検討することを通じて,PPA の評価における課題を整理することを試みた。タイプ分類は既存の検査を組み合わせることで対応が可能であると考えられたが,この検査の組み合わせの妥当性については今後さらなる検討が必要である。他方,長期経過をみていく際に必要となる ADL(activities of daily living)等生活面の評価についても PPA 特有の問題が反映される評価法が開発されることが期待される。