著者
高岡 尚輝
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.474, 2022 (Released:2022-05-01)
参考文献数
3

うま味は,食品に含まれるグルタミン酸やイノシン酸が,舌の味蕾にあるうま味受容体と結合することで生じる.このうま味成分は食品添加物として使用されており,その安全性は十分に確認されている.一方で,近年,疫学研究や動物試験により,グルタミン酸ナトリウム(monosodium glutamate: MSG)などのうま味成分の多量摂取がメタボリックシンドロームの発症につながる可能性が報告されている.しかしながら,うま味成分の摂取がメタボリックシンドロームを引き起こす分子機構は未解明であった.本稿では,プリン分解経路に関与する酵素AMPデアミナーゼ(AMPD)の遺伝子欠損マウスなどを用いて,うま味成分がメタボリックシンドロームを誘発する分子機構の一端を解明したAndres-Hernandoらの報告を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) He K. et al., Am. J. Clin. Nutr., 93, 1328–1336(2011).2) Andres-Hernando A. et al., Nat. Metab., 3, 1189–1201(2021).3) Cicerchi C. et al., FASEB J., 28, 3339–3350(2014).