著者
高岡 智子
出版者
龍谷大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

当該年度は、東ドイツのポピュラー音楽に関する「保存」、「普及」、「教育」に焦点を絞り、2月下旬から3月中旬にかけて約1ヶ月間、ベルリン及びクレペリンでインタビュー調査と資料調査を実施した。インタビュー調査は、クレペリンにある東ドイツロック博物館(Ostrockmuseum)、東ドイツ時代にポピュラー音楽専門のミュージシャンを養成していたフリードリヒスハイン・クロイツベルク音楽学校でおこなった。資料調査は、ベルリンの教育史研究図書館(BBF:Bibliothek fuer Bildungsgeschichtliche Forschung)、ベルリン州立文書館、フンボルト大学図書館、フリードリヒスハイン・クロイツベルク音楽学校資料室で実施し、東ドイツ独自の芸術ジャンル「娯楽芸術」に関する資料、東ドイツの音楽教育の歴史研究に関する資料、さらにポピュラー音楽教育の指導要領に関連する一次資料を収集することができた。当該年度の成果は、論文「東ドイツが〈創った〉ポピュラー文化―若者、デーファ(東ドイツ映画)を観に行く」として書籍『地域主権の国 ドイツの文化政策 人格の自由な発展と地方創生のために』(美学出版、2017年9月)に掲載された。さらに、第29回日本ポピュラー音楽学会年次大会(2017年12月2-3日 於関西大学)で「ポピュラー音楽の制度化―冷戦期から 2000 年代までの『教育される』ドイツ・ポップスの成り立ち―」について発表した。また、シンポジウム「芸術家の肖像-文化的記憶・評伝・映画」(2018年2月20日 於神戸大学)では、「ドイツポピュラー音楽と文化的記憶―亡命ユダヤ人作曲家の映画音楽からポップアカデミーによる国家介入型ポップスへ―」について講演し、本研究を文化的記憶という文脈から検討するよい機会になった。