著者
水品 圭司 高島 邦夫 高橋 利郎 戸塚 昭
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.120-126, 1990-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

(1) ワイン中の中高沸点硫黄系化合物の抽出・同定を試み7個の化合物を同定した。このうち, 2-メチルーメルヵプトエタノール (MME) とジメチルースルホン (DM) はワイン中に初めて同定された。(2) 2-メチルーメルカプトエタノール (MME), ジメチルースルホン (DM), 3-メチルチオプロパノール (MTP), デヒドロー2-メチルー3-(2H)-チオフェン (DMTP) 及び3-メチルチオプロピオン酸エチル (EMTP) について品種を異にするワインにおける含有量を求めたところ, 香味の正常なワイン中にもこれらの化合物が広く存在していることが明らかとなった。(3) 中高沸点硫黄系化合物は, ヌカミソやタクアン, ゴム, タマネギ様の匂いを有した。官能検査からこれらの化合物のワインにおけるF. U. 値を求めたところ3-メチルチオプロピオン酸エチル (EMTP) と赤ワインにおけるジメチルースルホン (DM) を除いて, いずれの化台物もF. U. 値が1以上を示し, これらの化合物が供試ワインの香気特性に対して寄与しているものと考察された。