著者
馬杉 正男 高木 国主男 佐藤 正治 井手口 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.496-505, 1994-09-25
被引用文献数
1

無線通信などに起因する電磁妨害波の多くは,放射電力,発生時間,発生位置等が必ずしも一定しない準定常的な変動特性を有し,これらに起因する電磁障害原因の特定は困難である.本論文は,電磁障害発生前後において,あらかじめ設定した周波数範囲内のレベル変動に基づいた条件により電磁妨害波を選択して検出・記録可能な測定システムの検討を通して,障害要因となる電磁妨害波を周波数領域において測定する方法の提案を目的とする.ここでは,電磁妨害波の周波数,電磁界強度,発生時刻等の把握に有効となる測定システムの構成ならびに制御方法について述べると共に,試作した測定システムの測定データの転送時間を含めた処理時間が2秒程度であるといった基本評価結果例を示している.続いて,都市部において,市民ラジオ電波帯を対象とした電磁環境測定を実施することにより,無線電波に起因する電磁妨害波の検出率は早朝から夕方にかけて増加し,その発生時間帯と人間の日常生活時間帯との間には相関関係があること等を定量的に明らかにした.以上の検討を通して,提案した測定システムが電磁障害原因の究明のみならず,今後の電磁障害対策を行っていく上で有効となることを検証した.