著者
佐藤 正治 倉本 昇一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.149-158, 1994-03-25
参考文献数
9
被引用文献数
9

電話センタビルに直撃雷が落ちるとビルの柱やはり,壁などに雷サージ電流が流れるため,通信ケーブルや配電線への誘導などによって,装置の故障や誤動作が発生することがある.このため,直撃雷に対するビル内の電流,電圧分布の検討が行われている.この中の基本的な課題の一つに,実際の柱やはりの等価インピーダンス推定方法があるが,建物の鉄筋,鉄骨の寸法が大きいことや形状が非常に複雑な形をしているため,まだ,十分解明されたとは言えない.本論文では,まず柱やはりの縮小モデルを作製してそのインピーダンス測定法を検討し,柱の縮小モデルの周囲に複数の電流リターン線を配置すれば,モデル内電流分布がほぼ均等になり,より実態に近い測定が行えることを明らかにした.次に,この測定法を使用して,シンプルな円柱導体と柱の縮小モデルとの比較を行い,柱やはりの抵抗およびインダクタンスは,その鉄骨や鉄筋の表面積を求めれば,複雑な形状であってもそれと同じ表面積の円柱導体の計算式からおおむね推定できることを実験的に明らかにした.最後に,実際の鉄筋コンクリートビルの柱を測定し,縮小モデルからの推定が実測値とほぼ一致することを確認した.
著者
馬杉 正男 高木 国主男 佐藤 正治 井手口 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.496-505, 1994-09-25
被引用文献数
1

無線通信などに起因する電磁妨害波の多くは,放射電力,発生時間,発生位置等が必ずしも一定しない準定常的な変動特性を有し,これらに起因する電磁障害原因の特定は困難である.本論文は,電磁障害発生前後において,あらかじめ設定した周波数範囲内のレベル変動に基づいた条件により電磁妨害波を選択して検出・記録可能な測定システムの検討を通して,障害要因となる電磁妨害波を周波数領域において測定する方法の提案を目的とする.ここでは,電磁妨害波の周波数,電磁界強度,発生時刻等の把握に有効となる測定システムの構成ならびに制御方法について述べると共に,試作した測定システムの測定データの転送時間を含めた処理時間が2秒程度であるといった基本評価結果例を示している.続いて,都市部において,市民ラジオ電波帯を対象とした電磁環境測定を実施することにより,無線電波に起因する電磁妨害波の検出率は早朝から夕方にかけて増加し,その発生時間帯と人間の日常生活時間帯との間には相関関係があること等を定量的に明らかにした.以上の検討を通して,提案した測定システムが電磁障害原因の究明のみならず,今後の電磁障害対策を行っていく上で有効となることを検証した.
著者
菅家 正瑞 佐藤 正治
出版者
長崎大学
雑誌
経営と経済 (ISSN:02869101)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.103-133, 2006-09
著者
佐藤 正治 倉本 昇一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.791-799, 1997-09-25
被引用文献数
11

ビルに直撃雷を受けると, 柱や梁, 壁等に流れる電流の影響によって, 通信装置が故障することがある. このため, その電流分布特性を明確にし, 防護対策を確立する必要がある. 従来, ビルの電流分布推定には, 柱や梁を集中定数で表す線形モデルが用いられてきた. しかし, 実際のビルの検討例は数少なく, 現実に存在する大地やビルの壁, 床をどう取扱うか等, モデルと実際の対応付けが大きな課題であった. このため著者らは, 複雑な形の柱や梁の等価インピーダンスを実験的に検討すると共に, 大口径ロゴスキーコイルを設計して実際の柱や梁の電流を測定できるようにしてきた. 本論文では, これらの結果をベースに, 壁や床のないビル縮小モデルと実際の鉄筋コンクリートビルを用いて雷電流印加実験を行い, 大地や壁, 床の影響を検討すると共に, 従来の線形モデルの計算法との比較を行ったものである. この結果, 柱や梁の電流分布特性を明らかにすると共に, 電流分布の計算では, 柱や梁の等価インピーダンスに加えて大地抵抗率を考慮する必要があることを示した. また, ビルの外周がコンクリート壁の場合, その外壁の鉄筋に流れる電流は, ビルに流入する電流の約30%であることを示した.
著者
加藤 潤 佐藤 正治 倉本 昇一 松岡 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会秋季大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1994, no.1, 1994-09-26
被引用文献数
1

アンテナ鉄塔のある無線中継所が直撃雷を受けると、雷サージ電流が導波管を通り無線装置に侵入し、無線装置が符号誤りなどの障害が発生することがある。このため装置には、コストと必要性のバランスを考えた耐雷性能が必要となる。耐雷性能の適当な目標値を設定するためには雷サージ電流の大きさとその発生頻度の関係が重要になるが、明確には示されていない。本報告は、通信装置に流入する雷サージ電流の発生頻度と電流波形を直撃雷の発生頻度や建物の伝達係数から推定方法を示した。
著者
佐藤 正治 倉本 昇一 松岡 浩一 太田 稔 竹本 孝次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.765-772, 1993-09-25
被引用文献数
3

センタビルに対する直撃雷の観測や,ビルを用いて雷の印加実験を行う際には,そのビルの柱やはり,壁などの電流を測定できる電流センサが必要である.電流センサとしては,測定対象の周囲にコイルを配置し,その誘導電圧をピックアップするロゴスキーコイルが多く用いられており,市販品も数多くあるが,これらの電流センサは小形であり,ビルの柱やはりを測定できるような大形のものはなかった.このため本報告では,ビルの柱やはりなどを囲むことができる長さで,かつ現場の状況に柔軟に対応してセットできるようなフレキシブル性を有するロゴスキーコイルを検討した.まず,コイルと積分器を集中定数で等価回路化すると共に,有効周波数帯域幅と感度特性について目標値を設定し,それに最適な構造条件を明らかにした.この結果より,ビニルパイプを心材とする空心コイルを試作した結果,長さ1-10mで,周波数300kHz,電流-電圧変換ファクタ1/100のロゴスキーコイルを実現することができた.更に,被測定電流の位置依存性を測定した結果,本コイルのような長尺構造でも十分実用に供し得る特性が得られた.